吹っ切れない想いは誰のもの『その名前を君は知らない』ネタバレ・感想

その名前を君は知らない　四宮　和　H＆C Comics ihr HertZ Series　大洋図書

あらすじ
高校教師の間宮は同じ教師である今野に憧れ以上の想いをもっていた。
だが今野は中等部の教師と結婚し、その報告する姿を見つめるだけの間宮。
この先も想いを告げることはない、名前を付けることもないそう思っていた。
そんなある日、雨の中困っている男性を見つける。
困っている彼が英語で呟くのを聞き、間宮は自身の傘を渡し交番へ行くと道を案内してくれると言う。
だが、男性は傘を受け取り、そのまま間宮と一緒に歩き出す。
困惑する間宮だったが実は今日から英語教師として働く久遠だった。
そして間宮は久遠の面倒をみることになったのだが―…。

教育実習生の時に世話になった先生に憧れ、そしてそれ以上の感情を持つ。
先生王道ですね。
教育実習生ときたら、コレですよ。

間宮さんと今野さんはかなり歳が違うようですが、憧れが止まらないわけですね。
教育実習生だった時から一緒に働くようになっても変わらない、寧ろ想いが強くなる。
教育実習生から同じ職場で働く先輩後輩だと変わってしまいそうですが、憧れは憧れのまま。

そして間宮さんが教育実習生の時に生徒だった久遠さん。
連鎖する王道。
久遠さんはもちろん追いかける年下で、昔から成長した自分を見て！
結果相手を追いつめてしまい、生徒の頃と変わって無いな…と落ち込むのも様式美のようなものなのですよ。

久遠さんは帰国子女で英語の先生。
生徒も教科書通りよりも会話ももっと勉強したい！となるのもよくわかる。
それを間宮先生に直接お願いしにいくのもよくわかる。
久遠さんはそんな生徒に対して苦言を呈するけど（今までの授業批判ともとれるため）間宮さんは我慢。
自分の至らなさ、として受け止める。
その上、久遠さんに対する今野さんの評価も良いから間宮さんは全部我慢。
思うことがあっても言うことが出来ない。
だって、憧れ以上の感情を持つ今野さんに認めてほしいから。
そんな姿を見たい訳じゃない久遠さんはさらにヤキモキ。
間宮さんが頑張り過ぎて空回り気味なところを何とかしたい。
でも、言葉足らずで帰って傷つけてしまう。
結果、どちらの頭にもちらついてしまうのは今野さんなんですよね。

今野さんが良い先生でよかったです。
間宮さんに対してはもちろん、工藤さんに対しても。

相手が新人だろうが、年下だろうが頼ればいいのに。
そう言うのは簡単ですが、やっぱり頑張ってきて認めてほしい相手がいる場合、なかなか難しいですよね。
しかも、その認めて欲しい相手から「久遠は良い」という評価聞けば、更に頑張らないとって追い込んでしまう。

ここをどう打破するのか、がポイント。
どんなに後退させても壁まで追いつめてグイグイ行くくらいでないと間宮さんの頑丈な気持ちが動かない。
久遠さんが押しが強くて良かった。

綺麗にまとまっていますが、もう少し二人のイチャラブが見たかったかな、と思いました。
描き下ろしも二人の関係が深まったことはわかりつつも、もう少しこうべったりもあったら嬉しかったです。