むくげの日日是好日

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好きになったのは、教師『雪解けの恋』ネタバレ・感想


雪解けの恋

あらすじ
花見の予定が突然の雪によって中止となるもすでに現場に着いていた高田澄人はベンチで泣く男性を見つける。
どこかで見たことがある、と思うも思い出せないままの澄人。
学校が始まり、現国の担当教師として現れた染谷美幸を見て、泣いていた男性だと気付く。
確認すべく、花見予定だった場所にいた事を尋ねれば、染谷は友人の結婚式だったと答える。
それから澄人は染谷にことあるごとに声をかけるようになり、距離を縮めて行くのだがー…。

高校三年生と現国の教師。
泣いていた理由は友人の結婚式。
気になって仕方ない、高校生の感情の行方はー…?

 

雪解けの恋

教師と生徒。
染谷さんは4月の時点で32歳で澄人くんは高校三年生。
14もしくは15歳差…になるのかな?
かなり歳の差があるけれど、澄人くんの真っ直ぐ具合が良い。
先生としてちゃんと接している染谷さんも良い。
最初は単に染谷さんに懐くだけの澄人くんが自身の感情を向き合うところ、染谷さんは自身の経験から澄人くんに対し警告をするところ。
どちらも恋愛感情だけでなく、人としてちゃんと思い合っている描写が丁寧。
染谷さんの時は周りの目がかなりきつく、耐えられない。
澄人くんの時は周りの目が厳しくなく、受け入れている。
この差もしっかりと描かれているので、感情が動くのがわかります。
染谷さんの不安要素をしっかりと取り除く、という描写がいい。

受験生でしたいことが必ずもあるわけではない。
大学には行くけれど、何処を選んだらいいかなんてわからない。
その時に誰かとのやりとりの中で何かを見つけ、そこに向かおうとする。
そのために必死になる姿も描かれているし、先生との関係も高校三年生という一年間を通したものになっている。
丁寧な描写だからこそ、読む側もストンと落ちるのが良かったです。

描きおろしにてその後の二人が描かれていますが、幸せそうでなによりです。

同時収録

『ルアーノート』

あらすじ
酷い酔い方をした職場の瀬戸。
バイトの山下が送ることになり、家に連れて帰る。
話しかけても埒が明かないため途方に暮れる山下だったが、瀬戸が「めぐみ」と呼びつつ抱きついてきてそのまま山下の性器を咥えてきた。
焦る山下だったが、後日「めぐみ」という男性が現れてしまい―…。

香水がテーマ、ということのなので匂いからの相手を思い出して求めてしまうという話です。
終わり方に希望があるような、ないような。
どちらともとれる終わり方です。
山下くんのズルさと瀬戸さんのズルさが違うのが良かったです。
少し保険をかけてしまうところが瀬戸さんのめぐみさんへの想いが見えますし、そのことを分かりつつ利用する山下くんが良い。

『ファイナルチャプター』

あらすじ
夕が駅で偶然出会ったのは、高校時代の友人だった朝哉。
大学進学を機に地元を離れ、12年ぶりの再会だった。
連絡先を交換し、思い出すのは高校時代の苦い想い出。
好きな人はいるのか、と互いに問うもその先を告げることなく終わった関係。
朝哉はすでに結婚していて、夕も結婚を考えている恋人がいる。
それなのに、どうしても過去を忘れることが出来ず―…。

こちらがデビュー作ということですが、丁寧な絵と心理描写に胸がきゅっとなります。
結婚している人、結婚を考えている人という二人なの相手のことを考えるともやもやしてしまう気持ちと、それ以上にどうすることもできない気持ち。
その葛藤が強く伝わってくる話です。

恋愛に対して真っ直ぐに進む高校生の話
経験値があるからこその狡さを感じる話
捨てたはずの過去を思い出し、自分の立ち位置と共にもがく話

収録作品含め、必ずしもキラキラしているだけではない、恋愛の側面を描いている作品だと思います。
心理描写が丁寧なので気持ちの揺れなどを重視している作品を探している時にお勧めです。

 

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