むくげの日日是好日

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高校時代の想い出を越えて『一途な犬は諦めない』ネタバレ・感想

紙書籍等

 


一途な犬は諦めない

 

あらすじ
ゲイだったことを隠していた島崎は大学に入ってからは反動のように関係を持った。
その内の一人、世田と教室で行為に及んでいるところ、新入生に見つかる。
言い訳をし、何とかその場を収めた島崎だったが、寮に帰るとそこには先程の新入生がいた。ゲイかどうかを確かめられ、肯定すると良かったと言われ混乱する島崎。
その上新入生は島崎のことを部長と呼んでくる。
部長、その響きに何か懐かしさを感じている内に目の前の新入生が高校時代の部活の後輩だと思い出す。
秋月、新入試の名前を思い出したところで手を掴まれ、好きだったと告白されてしまいー…。

性に奔放な先輩とずっと一途に思っていた後輩。
同じ寮に住むようになり、二人の関係はどうなってしまうのか。

 

 

『一途な犬は諦めない』


島崎くんは奔放、というだけということなので割と言動があけすけです。
秋月くんは気苦労が絶えませんが、そんな島崎くん丸ごと好きなので仕方ないです。
好きだからこそ、相手を困らせたくなくて押しきれず引こうとしたりする秋月くんが切ないです。
背が低く、足が早い秋月くんは短距離を勧められるけれど、そこでも諦めないというところ、その姿を島崎くんが覚えていてちゃんと物語に絡んでくるところが良かったです。
この時の悔しそうというか感情を滲ませた表情の秋月くんがいいんですよ。

同時収録

『対岸の犬を呼んで』


あらすじ

決まった相手を作ることなく、その場限りの関係を楽しんでいた世田。
ある日、馴染みのバーに行く前に目があったノンケに軽く愛想を振りまくが特に意味はなかった。
だが、その相手が世田の隣に座り誘ってきて―…。

ノンケだけど、世田さんを抱きたいという湘吾くん。
世田さんも抱く方なので二人は堂々巡り、となるわけですがこの湘吾くんも諦めない。
世田さんが30歳、湘吾くんは21歳で年齢差は9歳。
抱く側の人が抱かれる側に移行するための感情とちゃんと向き合っていて良かった。
どちらでもいいよ、ではなく明確に抱く側なのでそこから変わるにはそれなりの描写がある方が説得力というか、物語に入りこむ重要な要素だと思っているので。

『一途な犬は諦めない』のスピンオフで大学生だった彼らが社会人になっているという姿が見られて良かった。
島崎くんと秋月くんも出てきて幸せそうでなにより。

その他のスピンオフ作品はあるの?


ちなみにスピンオフのスピンオフ、世田くんの通っていたバーのドラッグクイーン・ホイップさんが主役の『あした虹がでなくても』もあります。



今回紹介した『一途な犬は諦めない』がきはら先生のデビューコミックスとありますが、本当に上手いです。
絵もそうですが、心理描写が丁寧なのが良いです。
高校時代に出逢った印象強い先輩を追いかけ続ける後輩の一途さが可愛い作品です。

 

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