男性妊娠が可能な世界で選択するのは『親友と子作りすることになりました。』ネタバレ・感想
恋愛感情ない親友と子作り？！
親友と子作りすることになりました。 関原 みつ豆 Charles Comics メディアソフト
あらすじ
花太郎は久留守グループの代表取締役。
それゆえ、母親と祖母から跡継ぎをせがまれていた。
しかし、仕事で忙しい花太郎は恋人と過ごす時間もなく、独り身のまま。
そんな花太郎をそばで見ていた秘書で大学時代からの親友・要は自分が産もうかと立候補する。
人口問題から、男性も薬を飲むことで子供を産めるようになった世界で繰り広げられる親友との子作り。
恋愛感情はないけれど、情はある二人がどのようにしてこの問題に取り組んでいくのか。
社長と秘書、仕事だけでなくプライベートも一緒に過ごすようになった二人の心境の変化は―…。
親友の突然の発言に驚く社長と親友のためなら子供を産もうと決意する秘書の妊活ラブストーリー！
男性でも妊娠できる世界？
2ヶ月間薬を飲むことで男性の体を変え、妊娠できるようになる。
ただし、必ず妊娠できる体になるものではなく、また体が変化しても妊娠する確率は高くない。
個人差はあるが副作用もあり、体の変化にともない疼くようになる。
しっかりとした描写があるためこの世界観にすんなりと入ることができました。
跡継ぎ問題で親友と恋愛？！
跡継ぎ問題なので、どうしても子供を作ることが優先されてしまいます。
ただ、花太郎は要からの申し出に対し有難いと思いつつも親友である要が大切ということがひしひしと伝わってきます。
二人とも恋愛感情はなく、ただお互いに親友を想い合った結果の子作りという選択なのですが、ちゃんと恋愛していく過程が描かれていて良かったです。
要自身、恋人がいたことはあるも恋愛感情とはどういったものなのかわからない、ということも二人の関係に深く関わります。
花太郎は優しくて常に要のことを考えてくれる。
要の方は体の変化が先なので疼くのを止めて欲しいという欲求ありきなのですが、それでも恋愛感情を知らなかった要からすると花太郎の優しさは心地よくてもっと、と求めてしまいます。
跡継ぎ問題が絡み、子供ありきで話が進んでいくので苦手な方もいるかもしれません。
親友に対し恋愛感情が芽生える瞬間などはこの問題に絡んだからこそ、という点で自然な流れになっていますし、その辺りは丁寧に描かれています。
花太郎がとにかく要に対し、優しいのでその辺りも安心です。
跡継ぎばかり言う母親と祖母ですが、そのこと以外は優しくて良い感じです。
だからこそ、要にとって花太郎が大切な親友であることはもちろんですが「産もうか？」と提案したのだと思います。
妹も出てきますが、妹も優しく思いやりのある描写が多いです。
妊活がテーマなので、えっちの描写は多いです。
体が変わってしまった要はどうしても花太郎を求めてしまうし、花太郎も要が大切。
行為自体も甘い雰囲気と親友だしという少しの罪悪感などが混ざったものになっています。
ですが、この行為に恋愛感情が合わさった時の変化！
二人の感じ方などを見て欲しいです。
関原先生は別名義でも活動している？
北野仁という名前でも活動されています。
試し読んでから購入した作品なのですが、話題になるまで別名義に気付きませんでした。
先生ご自身でも明かされているので秘密にしたいうことはないようです。
北野先生名義の作品も読んでいたのですが、少し前の作品（『なんとかなる日々』※女装もの）のせいか、絵の雰囲気も違います。
よくよく比べてみるとそうかな…と思いましたが、それでも随分と絵のタッチがやわらかくなった印象。
線の感じも違いますが、ディフォルメされているところを見るとそうかも、と思ったりしました。
先生によって、同じジャンルでも別名義にされる方はいらっしゃるのでそういう楽しみ方もありますね。
やわらかなタッチで描く、男性妊娠可能な世界という設定を存分に活かした内容です。
二人とも親友で互いに相手のことをしっかりと想っていることがわかるからこそ、恋愛への移行もすんなりと受け入れられる。
そんな優しくて温かな作品です。
