むくげの日日是好日

BLコミックの感想日記。このブログはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

先生だったから、乗り越えられた『心情呼吸』ネタバレ・感想

先生がいて、本当に良かった

心情呼吸 四宮 和 B's LOVEY COMICS eb! enterbrain

 
あらすじ

生物教師の奈良(なら)は高校三年生の授業を受け持つ。
受験生相手ということもあり、気を使うがその中で厄介なことに毎回悩まされる。
それは小テストを行う度に、30点配点の回答欄にて告白する生徒がいるからだ。
その生徒の名前は生田(いくた)。
彼はバスケの選手でスポーツ推薦が決まっていたの程の実力だった。
だが、相手チームとの接触にて怪我をしてしまいスポーツ推薦は消え、現在は受験を控えていた。
そんな生田に毎回テストで告白されていたが、全て無視してきた奈良。
だが、ある日のテストでは告白以外の回答欄を空白にしてきた。
嫌な予感がする奈良だったが、その予感は的中し生田が職員室へ質問があるとやって来て―…。


先生生徒もので生徒が怪我をしてスポーツ推薦取り消し。
落ち込んでいた生徒の光になったのは先生。

スポーツ推薦がダメになりそこからの復活。
色んなものを犠牲にして捧げていたものがダメになった瞬間ってどんな気持ちなのかなんて本人にしかわからないし、もしかしたら本人だってわからないかもしれない。

でも、その先も人生は続くわけです。
そこに光としての何かが現れる展開。
人かもしれないし、新たな何かかもしれない。
それは何でもいいんです。
とにかく、次へ進む為の何か。

今回の作品はその「何か」が「先生」だったわけですが、先生は先生で過去に同性の友人に告白した時のトラウマを抱えていて「生徒なんて通り過ぎるだけ、きっとすぐ忘れる」と思っているんです。

一途な生徒は先生を必死に追いかけるし、そんな生徒の姿を見て先生は信じたいけれど、信じきれない。
だって、学校生活なんて一過性のもの
過ぎれば、この熱だってきっと冷める
そう思っているから、本気になれない

先生自身、答案用紙の告白なんていたずらかと思い性質が悪いと思うわけですよ。
遊び、軽いノリ
そんなものなら、やめてほしい。
過去のことがチラチラちらついて、未だにトラウマなのに。

そこをどうにかしていくのが若さと言ってはアレですが、やっぱり強気で攻めて行くのがいいですね。
今まで散々努力してきたから、忍耐強いのかどんなにつれない態度を取られても先生に食らいつく。
その姿に先生が過去を乗り越えられるか否か。

奈良さんは年上で教師なので諭すところもありつつ、自身のトラウマとも向き合う。
生田くんは素直に奈良さんの言うことを聞きつつも、しっかりと一本芯が通ったところがあって良い。
また、生田くんは今まで捧げていたものが無くなってもしっかりと次に進もうと前をしっかりむいている。
ここが良い。
そして生田くん……卒業生代表で答辞読むんですけど、スポーツ推薦関係なく真面目で評価高かった、ということなんだろうな。
推薦ダメになってからは受験勉強して途中で進路変更しても大学合格していますし。
……生田、だから五十音という可能性もありますが。

あと、先生の作品の中で一番えろな部分が多いです。
他の作品はわりとふんわりといか、寸止めというか、その場面はほぼ匂わせ程度なんですが、こちらはちゃんと致してます

8歳差、と思ったよりも年齢差がありますが、生田くんのまっすぐさ加減としっかりと先生の言葉を聞いた上で自分の考えも伝えるのでこの先も安心。
奈良さんも、生田くんによって過去を払拭できて良かった。
奈良さんもちゃんと欲を持っていいんだ、という出逢いになって良かった。
生物の先生ということでその重要な場面でその要素もしっかり入っていて良かったです。

四宮先生はこの作品がデビュー作なんですよね。
絵は今よりも荒い感じがしますが、心情呼吸というタイトル通り心情が本当に丁寧に絵が画れていて好き!

先生生徒ものが好きでまっすぐな年下、しかも待ても出来るのでワンコ属性好きな方にお勧めです。

心情呼吸

四宮和 KADOKAWA 2017年01月14日
売り上げランキング :
by ヨメレバ