むくげの日日是好日

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好きだった気持ちを昇華したい『サヨナラに編むは、』ネタバレ・感想


体だけでなく、気持ちもあたたかくなる


サヨナラに編むは、 梅松 町江 LINX COLLECTION BIRZ COMICS 幻冬舎

あらすじ

ホーキンス柊真は休みを楽しめる趣味を探していた。
そんな彼が本屋で見つけたのは編み物の本。
彼の祖父も編み物をしていたこともあり、思わず手に取るとそこには彼好みの編み物作家・糸瀬雅巳の写真が掲載されていた。
気になった柊真はそのまま本を購入し、編み物を試みるも初心者には編み図を読むことも難しい。
困った柊真は下心はないとしつつ糸瀬の編み物教室に通うことにしたのだが―…。

32歳外資系で働く父親がイギリス人のホーキンス柊真と妻と死に分かれ、想いを引き摺ったままの糸瀬雅巳。
糸瀬はいくつか不明ですが、柊真に対しておじさんだし、と言っているので少し上かな?と想像しています。
10歳は上に見えるけれど、どうでしょうか。

妻の事を大事に想って、想い過ぎているからこそ、その想い出には触れて欲しくない糸瀬とその想い出ごと大切にしたい冬真。

冬真の真っ直ぐさと、グイグイと責める感じはありつつもやさしさに溢れているからそこまで押しを強く感じないところが好きです。
でも、自分のことを好きになってくれたら嬉しいなアピールはしっかりしますよ。

ホーキンスの出身がイギリスというのもしっかりと作品に活きています。
編み物の国、英語が出来る(外国の方とのやりとりをお願いできる)
また祖父が編み物をしていたことも話のスパイスとして良い。

亡くなった人との想い出を上手く昇華しようとするその流れも良いです。
時間が経ったからといって簡単に忘れたりはできない。
そこを上手く描いているところが好きです。

あと、梅松先生の作品は、時々会話に面白みというかテンポのズレがあり、そこが好きなんです。
そのズレ方が本当に微妙な感じがして良い。

この作品は、編み物をテーマにしているから…ではなくあたたかな内容なんです。
梅松先生の作品はどれもそんな空気が流れていて好きです。
今までの作品で周りが厳し目だったのは『銀座カクテル恋慕譚』くらいだと思います。
こちらは戦後、という時代背景もあるので仕方ないかな。
他の作品は周りの人がいろいろと否定もせず、受け入れてくれるタイプのやさしい世界です。

先生自身、編み物がお好きとのことでこちらの作品を描いたようです。

糸瀬に妻がいたと言う設定なので、その時のやりとりや彼女と仲が良かったことを語るシーンも出てきます。
女性が出てくる作品は苦手だという方はご注意ください。

えっちな場面やいちゃいちゃは少なめなのですが、やさしい、ほっこりしたい。
そんな気分の時にお勧めの作品です。

紙書籍等
梅松町江 幻冬舎コミックス 2018年09月21日頃
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