思い出せよ。過去にしたことを『ろくでもグッドナイト』ネタバレ・感想
どんな手を使ってでも過去を清算させたい
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あらすじ
美少年だったのも昔。
すっかりくたびれてしまった巻夫だが、今も下事情は盛ん。
そんな彼が店長をしている店に純という青年が現れる。
タイプだが、今の自分ではどうすることもできないだろうとおもっていた巻夫だったが、なんと純の方からタイプだと持ちかけられそのまま自宅へ。
いざ始めようとすると純はこの時を待っていたと言い殴ってきて―…。
あらすじだけで十分巻夫さんがあいたたた、と思いますがいきなり殴る純くんもアレですね。
まぁ、それだけのことをしているわけですが。
若い頃に自分の母親と寝ていて、しかも財布からお金もくすねていて(窃盗)その上中学生だった自分に性的なことをしてくる…。
アウト要件ですね。
そりゃ根にもたれます。
ただ、ジャンルはBL…そう、これだけのことをされても「気になっちゃって好きになっちゃった」に変わるものなのです。
いや、ちょっと、待って…と思うけれど、そういうものなのです(諦観)
それにしても巻夫さんのクズ描写は半端ないですね。
街で何かしようとしても追い出され追いかけ回されるって…。
本当にとんでもなかったんだろうな。
その上で純くんには反省したと謝りつつもデート中に声をかけてきた子に手を出すって…。
理由はちゃんとあるんですけれど、それでもデート中に他の子とトイレであんなことやこんなことをするなんて…。
いや、理由はあるんですけど……。
きっとこれにきゅん❤出来ないあたりが巻夫さんの魅力を私が理解できていないのだろうけれど…。
いや、どうなんだ…デート中ですよ?
反省したとか言っても口だけじゃないの?
そう怒鳴ってもいい案件のはずなのに「え…そんな理由なら……」そうならないのは私の修行が足りないのか。
純くんの一途さは可愛いと思いつつも、いや、この人も大概だな…と思えるエピソードがちらほら。
こじらせすぎですね。
仕方ないか、多感な時期にあんなことされたら。
『この星は恋のなわばり』
『お花畑に連れてって』
あらすじ
半田と小荒井は別の高校に通っている。
お互いグループのトップであり、顔を合わせては喧嘩をしているように見えていたのだが―…。
トップ同士の秘密の恋ですね。
拳で殴り合い愛を深めるタイプの話です。
そう、つまりえっちしながら殴るアレです。
アソコだけでなく首も含め締まる~と言いながら、病院送りになるアレです。
二人は真剣だし、なんかやりとりは付き合いたての重い系カップル話なんですが、そこに出てくる小道具がヤンキー色。
うるうるしながらもメリケンサック…。
お互いのことしか見えてなくて言動がおかしいのがいい。可愛い。
この手の話には全てを理解しているNo2がいるのですが、この話にもいます。
それが描き下ろし作品『この沼には恋のワナ』なのですが、面白い。
ちょっとどうしたらいいのか分からない相手に振り回される、というのが好きです。
『キラキラセブンティーン爆弾』
あらすじ
蓮恩の副担任だった十日町は蓮恩のことを好きになり、理性が保てないとの理由で教師を辞める。
驚く蓮恩だったが、なんだかんだで絆されてほぼ同棲のような生活を始めるが―…。
理性が保てないから辞めるって結構な理由ですが、それを受け入れる(しかないのかな)蓮恩くん……。
母親が彼氏来る時は子供全員他で泊まってね!という感じの家庭なので同棲しても家に帰ってこなくても気にしていないのが何とも。
教師になりたくてなった、だけど君が好きだから辞める。
かなり重めの話なのに、コメディ要素が強すぎて笑えるストーカー話にしか見えないのが良いのか悪いのか。
十日町さんとしては蓮恩くんとは運命だから学校を辞めたことも全然後悔していないし、蓮恩くんがいて毎日幸せ!なんだですが、蓮恩くんは考えますよね。
十日町さんは辞めても、自分は学生のまま。
そしてこういう経験(男性と付き合うこと)もアリだな、そんな風に軽く思いつつも「もっとかっこいい相手だったらなぁ」なんて思ってしまう。
でも、そう思いつつも十日町さんが仕事をしている姿を見て、自分も少しは態度を改めないとと思うところなど、蓮恩くん、純粋なんだな…と思いました。
トイレの音も聞きたいタイプの重めのストーカーですが、十日町さんは十日町さんで蓮恩くんを手放せないからこそ彼を幸せにしたいと思っている。
愛だなぁ…。
『純愛バベル』
あらすじ
生徒会長候補の朝倉は教師から頼まれ問題児の轟に生活態度などを改める様に話をしに行くのだが、どうも轟の様子がおかしくて―…。
どうにも話が通じない。
タイトルのバベルはここからでしょうか。
バベルの塔は建設中に言葉が通じなくなり混乱してしまう話なので。
確かにどこまでいっても平行線。
朝倉さんはクラクラしながらも必死に轟さんを相手しますが、ここまで話が通じないとは…。
その理由も朝倉さんはわからないし、想像もつかない。
それに対し轟さんは常に朝倉さんと話す度にキュンキュンしているわけですよ。
それにしても会長候補ということなのに朝倉さんはずっと会長って呼ばれてその度に「まだ」と律儀に訂正するのが性格が現れていていいですね。
だからこそ、轟さんとの対比…。
デビューコミックス、ということなのですが、コメディ要素たっぷりの短編集です。
クズからヤンキー。
そして何となく攻めがアレレな感じです。
先生もあとがきで書いてらっしゃる。
重めなことも全て先生のコメディ要素に包まれて軽くなっています。
よくよく考えたら「え、結構酷いな」と思いますが、考えずサクっと読むのが良いと思います。
重めの攻めと振り回される受けが好きな方にお勧めです。
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