むくげの日日是好日

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15年も同棲していたのに、どうして別れるなんて言うの『日常クライマックス』ネタバレ・感想

長く同棲していても、わからないことはある

日常クライマックス 倫敦巴里子 Chara COMICS 徳間書店

あらすじ

17歳、高校生。
御厨の両親に同級生の日下と付き合っているのかと問われ認めてもらえないなら出て行きますと駆け落ちした二人。
その後はバイトをなどをして、二人でずっと暮らしてきた。
駆け落ちから15年経ち、二人は32歳になっている。
今まで通り平穏な日々が過ぎて行くのだろう。
そう思っていた御厨だったが、日下から急に別れを切りだされその理由を問い詰めるも思い出せと言われてしまい途方にくれるのだが―…。


全寮制。
高校生。
駆け落ち。
そして15年という月日。

ドラマティック要素がこれでもか、というほど盛り込まれた作品なんですが、コメディパートが多いため重いのか、重くないのかと揺れます。
倫敦先生の作品はどこかしらに笑い要素を入れてくるので重いな…いや?となることが多いです。

・御厨さんは大地主の子供。
・日下さんは親の友人が施設から引き取った子供。

今回のテーマは「耽美」だったようですが、確かに二人の設定が耽美要素。
二人とも美少年でゲーテを語りあったりする。
全寮制、ゲーテ
耽美……。

高校生の時は全編シリアス。
大人になった途端コメディ要素が強くなります。

駆け落ちという始まりでしたが、時が過ぎたことから御厨さんの両親と日下さんも良い関係を築いています。
日下さんに直接電話がかかってきて、荷物の話などをしています。
その点を踏まえ、高校生という若さゆえの感情もありますから両親ともっと話していれば…と思わずにはいられません。
少し落ち着いた時にはしっかりと家族とのやりとりもしているわけですし、一度戻るというのもアリだったのでは?
いや、そうすると話が終わってしまいますが……。

日下さんは拗らせていて、御厨さんは闇がちょいちょい見える。
独占欲とも違う別のベクトルの……。
それをコメディ要素で軽く見せていますが、時折出てくるエピソードが……。

ところでこの二人、17歳で高校卒業前に駆け落ちしてバイトで生活しつつ現在は会社勤めと翻訳家。
……学校、どうしたのかな?
何処か見落としたのかな、と思いつつも同棲描写のみでその後学校に行ったのか不明。
一瞬、御厨さんは新聞配達の奨学金かな?と思ったけれど、日下さんは?
学校行く描写もないし、御厨さんも店長と言っているので何のバイトかは不明のままです。

その後はどういう経緯かやはり不明ですが会社に入った御厨さんは営業でトップ成績とっていた過去ありで現在は別部署だし、日下さんは昼夜逆転するほどお仕事ある翻訳家、ということなので生活に余裕はありそう。

先生の絵は可愛い絵も綺麗な絵も魅力的です。
ただ、意識されているのだと思いますがザッザと描かれた線と綺麗に引かれた線の絵と混在します。
線の太さだけの問題じゃないと思うので、恐らく意識して選んでいると思うのですが、ちょっとその意図が読めず……。
時間の無さとかでもないと思うんですよね。
多分、ですけど。

描き下ろしは大家さんが本当に良い人で彼らに必要なんだな、と思える話でした。
そして、大家さんにとっても彼らが大事なんだな…と。
カバー下の漫画は先生のいつものグレイ星人スタイルの自画像で裏話。
先生の字、本当に綺麗……毎回写植要らずの美しさ。

女性がかなり嫌な感じで出てきますので、気になる方はご注意ください。
大家の女性は良き理解者なんですが、御厨さんの職場の女性がちょっと……。
日下さんに対してマウントとかとってくるタイプなので苦手な方もいるかもしれません。
個人的には男女関係なく当て馬も幸せになってほしいタイプなのでそこが少しきつかったです。

耽美なだけでなく、コメディ要素も欲しい。
そこに過去のわだかまりなどもあるとなお良し!
そんな方にお勧めです。

紙書籍等
日常クライマックス

倫敦巴里子 徳間書店 2017年10月25日頃
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