誰かに求められる喜びを知った『二番の中で一番上』ネタバレ・感想

二番の中で一番上　真ing　Charles Comics　メディアソフト

あらすじ

松坂はヤリ目的での待ち合わせをするも、相手にすっぽかされと思い時間を潰す方法を考えていた。
だが、その前にきょろきょろと何かを探すような男性を見つける。
確認すると、松坂の相手と同じ格好。
もしかして、彼なのかと声をかける松坂だったが、人違いだとわかる。
しかし、相手の男性は自分はうなぎを食べたくて店を探していると言いだす。
たまたまその店を知っていた松坂に対し、男性は一緒に食事をしようと言いだす。
約束を反故にされ、時間がある松坂はその誘いにのる。
シュウと名乗る男性と食事をしている中、松坂は今日の目的を話すと何故かシュウはその内容に興味を示しだす。
ノリのまま松坂はホテルへ行くかと誘うと何故かシュウはまんざらでもない様子で―…。

あらすじを書くとちょっと「？」となりますが、まぁ、そうですよね。
内容はほぼ全編にわたりエロなんですが（…）８割…いや、9割…くらいいちゃついている。
最初の始まりからシュウくんの緩さに「…？」と思っていたのですが、それが明かされていく過程がいい。
だって、出会い厨でヤリ目的と言っている人とホテル行く提案ってどう考えてもアレじゃない？
しかも、シュウくん今まで彼女いてノンケとか言っているのに、松坂さんが誘ったらちょっと興味示す……どうして……。
不思議だな～と思いながらも二人のいちゃいちゃが可愛いからいいか、なんて読み進めるとシュウくんのモノローグ。
そして松坂さんのモノローグ。
ずーっとセックスしているだけなのに、急にか！
少しスピードつけられて、ぶっこまれた内容。
二人の感情の揺さぶりにおうおうとなりました。

松坂さんは本気になったら、捨てられた時のメンタルヤバい。

だから、一晩限りがいい→ヤリ目的の出会い厨（性欲強めだから）
シュウくんは今まで対人関係において主体性のなさを痛感していた。
彼女・友達できる→何でも受け入れるため、周りが離れて行く

こういう二人が出会ったことで新たな形になるの、好きです。

シュウくんは主体性がないことを気にしているからこそ、求めてくる松坂さんに惹かれてしまう。
今までこんなに求められたことなかった！→応えたい！！
この思いが強いんですよね。
恋愛感情云々じゃなくて、自分を必要としてくれる人を手放したくない！！！
応えたいからがんばって体も変えたい！！！
これってちょっと依存気味といいますか、ダメなパターンもあり得る展開なんですが、この二人にとっては幸せいっぱいなので良かった。
依存話になると割とメリバ展開に落ち着くこともあり、ドキドキするんですよね。
好きなメリバ、悲しくなるメリバがあるので…地雷持ちはこうやって自衛一方です。

松坂さんの方も本気なればなるだけ、傷つくし後が辛い。
だから一晩限りが後腐れなく楽。
好きなもの食べさせて、ホテル行ってサクっとセックスして終わり。
相性が良ければまぁ、次もあるかな？
くらいの感じだったわけですよ。
でも、だからといって「それが自分の望むこと」とは別問題なんですよね。
傷つくのが怖いから、徹底的に予防線を張る。
そんなところにたまたまシュウくんと出会う。
シュウくんはシュウくんで初めて会った人を食事に誘うし、「なぜ？」と思うけれど、理由を知ればそうか、と納得できます。
※ただし、やっぱりちょっと緩めのため怖い経験しそうなので気を付けて欲しい。

松坂さんはちゃんとシュウくんにこちら側への深入り危険だよ、とは告げています。
これってシュウくんのことを想うと同時に、自分への予防策でもあるな…と思うと松坂さんもそれなりに痛い目に遭ってきたんだろうな、と思います。

あと、松坂さんが最初に「相手はノンケだしどうせ無理だろ」と思いつつホテル行くなら
「セフレにしてあげる」（引用）
とか言うのどうかと思うのに、シュウくんも
「それはスカウトか何かですか…？」（引用）
こう返すところがおかしい。
どうかしてる。
でも、これも話が進むと「はぁあああ」となる。
いや、まぁ、セリフとしてはどうかしてるんですけど。

あと、酔った勢いとはいえ松坂さん自身の型で作ったディルドプレゼントにはどうしようかな、と思いましたがそれすら受け入れるシュウくんよ……。
シュウくんはシュウくんでそれで慣らすね！と言いだし応えたいからこそのポジティブ全開にどうしたらいいのかな…と考えてしまいました。
可愛いが先に来ているのですが、考えると負けよみたいなところもある。

二人の関係は体から入ったし、どんどん体を堕とされてはいるけれど、やっぱり大切というかどうしてこんなに互いに夢中になれるんだろう、というところの心情描写も入っているところが良かった。
そうじゃないと8～9割エロいことしているいちゃいちゃ汁気たっぷりドロドロ漫画ですからね。
※それはそれで読みたい時もある。

こんな始まりなのに、体だけでなく好きぃと言いだしたり、でもえっちは大事！（要約）とか言うの可愛すぎる。
性欲強い松坂さんに流されているだけなのかと思いきやシュウくんもどんどん吸収して大変なことになっていくし。
でも、最初は「求められていることが嬉しい」というのがあって、両想いになってからもこれは根底にずっとあるんだろうと思います。
本当、両想いの相手を見つけることができてよかった……。

互いが好きぃってなってからはひたすら可愛いしかないし、二人ともストレートに言葉にするから「甘い……甘すぎる……可愛い……」という状況に。
読んでいても「可愛い」しか出てこなくなる。
作品内はずーっとセックスなんですが。

松坂さんが怖がりの割に覚悟を決めてからはシュウくんに対して感情を出して行くのが良かったし、シュウくんも自分を出して行こうって思うのが良かった。
シュウくんが主体性なくてからかわれていたりした過去をちゃんと松坂さんと出会って越えて行くのが良い。
二人の年齢差は松坂さんが34歳、シュウくんが25歳と9歳差なのでことあるごとに松坂さんが悲観気味な発言をします。
これをシュウくんはにっこにっこと吹き飛ばすんですよ。
これは特典ペーパーの内容になるのですが、シュウくんはにっこにことしながら一緒に年を重ねて行こうみたいなノリなのが最高。
特典ペーパー読めて本当に良かった……こういう多幸感いっぱいなの大好き。
は～、ここに至るまで出会った頃のシュウくんを思うと…。
胸がギュンってなる。
シュウくん出会った時からおじさん呼びでおじさん認識はある。
だからこそこのままでいてくれないんだろうな…という思いもある。
一過性で、いつかは離れる関係なんだって二人とも思っている。
こんな風に想っていたのに、両想いになってからは「一緒に進めばいいよね！」（要約）と明るく言い放つの最高。
松坂さんでなくともキュンキュンするよ。

元はPixiv連載で、人気があり電子漫画連載となった作品です。
Pixivでも全話読めますので、どんな内容か気になる方はそちらで確認してからをお勧めします（2021.7.20現在）
少し会話が特徴的で、絵柄ももちゃっとしたデフォルメ化が多いです。
R-18なのでPixivの会員登録してないと読めないと思いますが、している方は是非。
絵の感じやセリフなどが変わっているので、絵については試し読みで確認してみてください。
Pixivは少し前なので絵柄は今の方がシュッとしています。

全話読んでから購入したのですが、本当に購入して良かった。
何度も読み返せる（Pixivから消すなどの発言もありません※もちろん作者の意向なのでそのことに対しどうこう言っているわけではありません。読ませてくださり、有難うございますの気持ちでいっぱいです。）
ただ、元の方がセリフの表現とか好きだったな～と思う所もちらほらあります。
あと、修正がゆるいのは元（無料掲載）の方です。
紙書籍にて購入したのですが、紙は全部白抜き。
書き下ろしが読みたかったし、大満足。
ここまで本編がえっちだらけだと逆に描き下ろしはいちゃつき程度でも良かったかな、とちらりと思いましたが書店特典がほのぼのちゃいちゃなのでいいや。
カバー下は二人のプロフィールでした。

お勧めの作品なのでぜひ読んで欲しいです。
全編ほぼえろですが、そこにまつわるラブラブっぷりも可愛いし、一気に駆け抜け過ぎなシュウくんも可愛い。
そして本気になるのを怖がる大人な松阪さんも可愛い。
おかしいな……全編エロなのに可愛いしか言えない。