むくげの日日是好日

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記憶がないなら改竄してしまえ、だって好きなんだ『ミスター・フィクション』ネタバレ・感想

大切にしている、本当。だけどこれはチャンスなんじゃないかって思ってしまった


ミスター・フィクション 碧本 さり BAMBOO comics Qpa  竹書房


攻めが抱かれる場面があるため苦手な人はご注意ください。
抱くのは受けではなく、元カレです。
感情はなくとも同時進行。

 


あらすじ

高校時代、同室だった雨宮と梶。
雨宮は整形外科医で梶はサッカー選手。
久し振りに二人で会った居酒屋で梶は怪我の影響もあり、チームから契約更新されなかったことについて話す声が聞こえる。
店を変えるかという雨宮に対し梶は気にしていないと言う。
店から出て酔っぱらった梶は階段から落ちてしまう。
頭は縫ったが異常はないようだという言葉に安心する雨宮。
すぐには入院の手続きを進めた後、外国での学会に参加する。
そして帰国後、目覚めた後の梶には記憶がないと知らされる。
高校時代以降の記憶がないと困ったように笑う梶に実は付き合っていたから、面倒は全て自分が見るから安心しろと雨宮は告げる。
驚いている梶に雨宮は高校時代からずっと好きだったと言うのだった―…。
しかし、これは嘘だった―…。

 


ポイント

・医者なのに患者に嘘をつく→好きでもアウトなのでは。自分の患者でなければいいのか?
・記憶喪失の人に嘘の記憶を上書き→想いが強いで片付けられないのでは。
心療内科を勧める→元カレが担当。信頼しているとはいえ、凄い。この辺りは感情よりも信頼勝ち。
・嘘の関係なのに恋人だから、と手を出す→なし崩し案件でよくバレないと思ったな。
・梶さんとの関係について嘘をついていたことが元カレにバレる→脅されて関係を持つ。酷いな。
・梶さんを抱き、元カレに抱かれる→と、とんでもないな…。
・梶さんはぐずぐず→快楽に弱いのかすぐ流される
・雨宮さんもぐずぐず→元カレが上手すぎるのか……凄くぐずぐずになってる。
・梶さんは結婚していた→離婚済み。
・雨宮さんは梶さんに甘過ぎる→何もかもしたがる。
・病院あるあるの個室で何故かそういう雰囲気になる→個室のある職業は大抵こうなる。

ポイント要素が酷いけれど、面白いんですよ。
どろどろなのに、雨宮さん酷いのに、面白い……。
佐伯さんが良い味出している、と思ったらスピンオフが出てこちらでも佐伯節炸裂でした。
その作品がこちら『ダブル・スタンダード

 

mukuge.hateblo.jp


攻めだと思ったのに元カレには抱かれていたの?!というところが地雷の人がいそう。
しかも脅されて関係を持っているところはガッツリ描写でとろけさせられて佐伯さんの質問もすぐに答えて喘ぐの堪えている、という。
いろいろ倫理観的な話になるとアウトしかないんですが、面白いんですよね
医者が患者に嘘つくのはないな、とわかっていてもフィクションだしな、ということで。
しかも理由が「自分の感情優先」なところが問題とわかっていても……面白い
もちろん、離婚しているし、怪我で所属チームとの契約も更新されなかった。
その上での記憶喪失なんて精神的にキツすぎる!
自分が何とかしたい!
支えたい!
高校の時から好きだったんだよ!
そう思うのはよくわかるのですが、どうしても下心込みなところが気になります。
まぁ、その下心への罰は佐伯さんからの性的なお仕置きなんですが。
お仕置きといっても、佐伯さんは単に雨宮さんが好きなだけで口実探しです。
梶さんは梶さんで流されやすいな、と不安になるし。

気になるところがたっぷりあるのですが、好きな作品なんですよ。
どう考えても酷いんですけれどね……。
一途といえば何でも許されるわけじゃないのに……。
でも、好きなんですよ。

攻めが受けになったりするため苦手な人はいると思いますが、面白いです。
関係性はどろどろしていますが怒っているのは梶さんのみな気がする。
佐伯さんはともかく、雨宮さんはもう少しこう…。
信頼していてるからこそ元カレに診てもらっているんだろうけれど……。

ただし梶さんの病気・怪我などは先生が雰囲気やノリで描くことに対して気になる方なので個人的に取材したとあります(あとがきより)

私が気になる点については内容的に「嘘」がテーマなので、仕方ないな!と思ってます。
盛り上げるためには必要なことですからね。

えっちなシーンもしっかりあります。
冒頭からしっかりですよ。
高校時代の話のエピソードも上手く盛り込んであり描き下ろしも可愛いです。
雨宮が隠さなくなってます。
今まで隠していたのか?と突っ込まれそうですが。

カバー下に竹書房さんにて直接担当さんと打ち合わせしつつネーム切った話がありますが、面白い。
編集者の人「えっちが見たい」「えろくて最高」など言うらしいです。
他の先生のBL作品打ち合わせ漫画でも常にこの手のセリフが出てくるのがいいな。
大事ですよね。
確か井上佐藤先生は性器のくトーン問題を語ってた。
TL打ち合わせ漫画で印象深かったのは性器の修正のかけ方です。
かなり前の作品なので今とはどう違うか不明。
……その内多くの作品が年齢制限入るのではないか、と思えてくる。

どろどろしているけれど、しっかりと感情を片付けています。
後にひく感じはないので、安心したどろどろです。

紙書籍等
碧本さり 竹書房 2017年03月17日頃
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