むくげの日日是好日

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方程式さえ解けば答えに辿り着く、なんて言ってくる『だから理系が嫌いだ』ネタバレ・感想

感情って割り切れることばかりじゃないでしょ!

だから理系が嫌いだ 厘 てく H&C Comics ihr HertZ Series 大洋図書

 


あらすじ

新人予備校講師の篠田は授業を行うことで精一杯。
けれど、生徒の中には懐いてくれる子もいて、やりがいも感じている。
だが先輩講師の中津から生徒と慣れ合うのはよした方が良いと忠告を受ける。
あくまで予備校の講師は受験のためであり、必要以上に慣れ合うと厄介なことになると言うのだが、篠田自分は自分のやり方で進めようとする。
しかし、生徒とあだ名で呼び合う篠田に生徒がさらにプライベートまで踏み込んでこようとする。
それに困っている篠田のところに中津がやって来て、講師と生徒は友達ではないと言い追い払う。
言い過ぎだ、と責める篠田に中津はやる気のない奴はやめてもいい、やる気のある人間をサポートしたいと言放つ。
確かに、中津の言う事は正論で篠田は言い返せない。
正しいとわかってはいるけれど、腹が立つ―…。


文系と理系の攻防戦。
篠田さんから見れば中津さんのやり方は情がなく見える。
中津から見れば篠田さんのやり方は度が過ぎた干渉に見える。

お互い反発しているように見えますが、様々な問題があり篠田さんは中津さんへの印象が変わって行く。
そもそも、篠田さんにとって中津さんは憧れの人だったので余計にこんな人だったのか、という失望感が強いからこその感情の起伏です。
篠田さんはちゃんと中津さんのことを認めています。
行っている事は間違ってないし、それが最適解なんだろう。
だけど、というこの「だけど」の部分でイライラしてしまう。
それは自分が全てにおいて割り切る事が出来ず、感情が揺れてしまうから。
それなのに目の前で中津さんはバサバサと切り捨てていく。
そうなれたらいいけれど、そうはなれない。

ここまでバサバサなのに、恋愛が絡むと「情を汲み取る」から篠田さんが「うぅ……」と強く出られないんですよ。
最適解は分かっている。
それでも恋愛に関しては「納得できないから他の方法を取る」なんて篠田さんも「えぇ……」と言いつつそのギャップにやられてしまうわけですよ。

その上、合理的に物事を進め過ぎるため電話や生徒の親への対応はまるっきりダメなところも篠田先生からすると「うぅ……」となってしまう。
また、ちゃんと言われた事は反省して復習するから更に「うぅぅ……」となるんですよね。
本人が意識していないところで勝手に篠田先生のいろんなツボを押している。

距離が近過ぎる講師と生徒。
学校の教師とも違うから難しいですよね。
個人塾だったらまた違うのかもしれませんが、大手予備校みたいなところだからこそ距離感が大切。
学校よりももっと「勉強(目的)に特化」しているから。

これは考え方もありますが、新人とそうでない人との差もありそう。
あと「教師になりたかったけれど、なれなかった」という人だと生徒への接し方に「憧れの職業感」が出てしまうだろうし。

教師と生徒に限らず距離感って重要で見誤ると大変ですよね。
そういうつもりじゃなかった、のオンパレード。

教師と生徒ものも好きなのですが、結構きっちりと線引きしつつのもだもだがある方が好き。
無理矢理する場合(何を…)は生徒→先生の方が好きです。

厘てく先生の絵は綺麗で崩した時の表情も良い。
適度にシリアスとコメディ要素を入れていて読みやすいです。

また表紙の蛍光色が可愛い。
ピンクとグリーンで鮮やか。
カバー下はピンク一色に記号が並んでます。
描き下ろしも可愛いのでぜひ。