むくげの日日是好日

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恋人になるってなんだっけ『in August』ネタバレ・感想


恋人が欲しいけれど、何か違う
in August 畠 たかし MARBLE COMICS 東京漫画社
あらすじ
大学2年の羽田太一は恋人が欲しいと思い、あるサークルに参加する。
だが、実際行ってみると何か違うと感じてしまう。
そんな太一を知らない人が連れ出し、安堵した太一だったが相手からホテルに誘われる。
驚く太一だが、実はヤリ目的のサークルだっと聞かされショックを受ける。
太一はただ、恋愛の悩みなどを話したいだけだったからだ。
そんな太一に連れ出した相手・芝井賢三は付き合おうと提案してくる。
太一は何となく流されるように賢三と連絡先を交換してしまう―…。

恋愛はしたいけれど、その過程を大切にしたい太一と体から入るのもアリだと言う賢三。
だけど、賢三も過去にあったことが引っかかっていて―…。
恋人、という定義から始まる恋愛はどうなっていくのか。

周りがカップルだらけだから、自分もそうなりたい。
だけど、好きな人はいないからそういう人が集まるところへ行ってみよう。
そんな気持ちな太一は恋愛に対して少し憧れが強いのかもしれない、と思いましたが、実は過去に失敗した経験があるから。
だからこそ「恋愛とは」と考えてしまっている。
一応太一と賢三は「恋人」になるけれど、その正解を二人で探るように恋人らしいことを考えながら付き合っていく。
一方の賢三は何かあるとホテルに誘ったりするけれど、無理強いはしない。
色んな話をして、色んな場所へ行って「恋人の定義」を探す二人。
太一は賢三にどうして自分がこう考えるようになったか、を話すけれど賢三はしない。
話せなかった過去を知った時に、太一はどう賢三に接するのか。
恋愛をしたいのに、うまくできない二人が互いに向き合って越えて行こうとするところが好きです。

同時収録
帰省
あらすじ
中学生の頃に外国に行った幼馴染と同窓会で再会する話。

小さな頃からずっと一緒だった文太郎と一哲。
だけど、一哲がチェリストになるために外国へ行ったことでそれから連絡を取り合うことなかった。
そんな二人が同窓会で再会すると、当時のことがいろいろと思い出されてしまう。
それだけでなく、実は二人で埋めていたタイムカプセルの中には一哲からの手紙が入っていた。
文太郎へ好きだと書いてあり、その真意を確かめたい文太郎だがなんとなくはぐらかされてしまう。
仲良しだったけれど、何かがきっかけで連絡を絶ってしまう。
嫌いだとかそういう理由だけでなく、人との距離はできる。
だけど、再会したらどうなる?
そこに好きだとか恋愛感情が入ったら?
帰省、というタイトル通り文太郎は実家に戻ります。
戻ったのは家にだけでなく、一哲と再会したことで当時の感情もぶわっと甦る。
ただ、甦るだけでなく当時とは違う二人が確かにそこにいるわけで、当時はできなかったことも大人になったからこそできることもある。
そして、大人になったからこそ、隠してしまうものもある。
別れと再会を帰省という期間限定の時間の中でどうやって昇華させるか、どうやって折り合いをつけていくかなど大人になったからこその選択をしていく二人が良い。

描きおろしはその後の二組。
どちらも甘くて良いです。

畠先生のデビューコミックスですが、どちらもむずむずとした青春っぽさを感じられる作品です。
帰省の二人は社会人になっているのに、同窓会がテーマだからか狡さと甘酸っぱさが感じられます。
タイトル作はありませんが、収録作品が8月の話だからタイトルになっているのだと思います。
ただ、暑いという感じではなくむしむしするあの夏の感じ、じめっとしたあの感じ。
だけど、ちゃんとその暑さを受け入れた後、夏の意味のようなものが感じられて読後感が良い作品です。

紙書籍等
畠たかし 東京漫画社 2016年03月
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