むくげの日日是好日

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睡眠アシスタントの恋愛事情再び『あなたの胸で眠りたい』ネタバレ・感想


好きになったら終わると思ってた

あなたの胸で眠りたい 未散 ソノオ DEAR+COMICS 新書館
あらすじ

有限会社H&Bを辞めた桜井望が職場復帰した。
突然のことに怒る富永竜郎だったが、戻って来た理由を聞き気持ちを落ち着かせる。
だが、そんな竜郎の反応に望は戻って来たことを喜んでくれると思っていたと告げる。
望の態度に反応できずにいる竜郎は、春臣から望が会社を辞めた理由を訊く。
それは恋人が仕事を嫌がったから、というものだった。

憧れていた人が戻って来たことに戸惑う竜郎と本当のことを話さない望。
睡眠アシスタントの先輩同士の恋愛はどうなるのか―…。

こちらの作品のスピンオフです。

mukuge.hateblo.jp
辞めたはずの望さんが復帰。
専属睡眠アシスタントをしていたけれど、相手が亡くなってしまったためだと説明されるも望さんはその前にクビになっていたと言う。
この相手が信条を重んじるばかりに自分の人生を変えることが出来ず後悔するという人だった。
望さんには直接話していないけれど、望さん本人は自分も同じようなタイプだと思われていたのではないか。
そんなことを思う望さんは自分の感情を認めてしまうと自分が自分でいられなくなると竜郎さんをあくまで同僚だと思い込むわけです。
振り回され続ける竜郎さんですが、そこは憧れの存在だから全部なんとか受け入れるし我慢できる。
平然と憧れと周りに言うし、本人焦るのに平気な顔をしている竜郎さんが好き。

望さんは何でも出来すぎる。
だから皆が頼ってしまうけれど、出来るからといって疲れないわけではない。
これも割と未散先生のテーマなのかな。
出来る人が出来すぎるからこその癒しを求めたり、そこに救済を入れようとする。
できること=疲れないではないよ、一人に全てを押し付けない。
だったらどうしたらいい?を考える作品。
先生の作品は違う話なのに、根っこの部分が同じというか結果的に行きつく先が近い気がする。
そのアプローチの仕方がどれも違うのでどれも面白い。

竜郎さんも望さんの抜けた分は全部埋めないと、やらないと、と必死になっていて結果疲れてしまう。
それを望さんは指摘できるのに自身のこととなると何とかしようとするのも…なんとも。
上手く回れているからこそ、今の自分が変わってしまうとダメになるという考え方。
そのことに振り回される竜郎さん。
竜郎さんは学生時代野球部でキャッチャー(データ野球)、そして高校大学と部長。
だからいろいろなところに気を配り、しっかりと周りを見ている。
そのことを望さんは「過酷」と表現するけれど、竜郎さん自身はそう思っていない。
つまり向いているし、適材適所だろうと言い返します。
自分にとって辛いと思うことでも相手はそう感じていないこともある
こういう会話も多く、やっぱり未散先生の作品、一貫していると思いました。

前作の春臣とマキノの話も恋愛話だし、結構色濃く入っていたのにこのスピンオフの方がより濃いと感じました。
職場が同じの恋愛なのに。
竜郎さんの諦めない感が強いからかな。

前作同様、マキノは望さんのせいで胃がキリキリしていて大変そう。
両想いなのに、春臣を疑うわけでもないのにちょっとしたこと嫉妬していて大変そう…。
春臣のこと以外には温厚で寛大なのに…春臣に望さんが絡むと本当にダメなまま……。

相変わらず大坪さんは素敵だし、田所さんも良い。
オーナーも良い。
出てくる人全員良い…。
ほぼ会社内の人しか出てこず、優しい世界で満ちているのも良い。

描きおろしが甘めなのも良かった。
竜郎さん報われている感じが出ていて嬉しい……。
振り回すだけ振り回してくる望さんよりも一枚上手感が出ていて良い。

カバー下も甘いし、なんだかんだで甘いというかデレが強い望さんを堪能する竜郎さんに良かったねと思えるのが嬉しい作品でした。
日常が描かれている同人誌も電子書籍化されているので気になる方はチェックしてみてくださいね。



紙書籍等
未散ソノオ 新書館 2019年08月01日頃
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