競い合いなんて言葉で片付けられなくとも、負けたくない『フェイクファクトリップス』ネタバレ・感想

フェイクファクトリップス　末広　マチ　BAMBOO comics Qpa 　竹書房

あらすじ

志藤全と四ツ谷良は互いに一課と二課に別れているが営業部。
営業成績が発表される度に二人はどちらが上だったかで揉めていた。
そんな二人の様子はすでに周りも慣れており、仲良くしろと言うも聞かない。
何故なら二人の争いは高校時代に始まったものだったからだ。
今回は良が勝ったことで、全は苛立つが勝者の言う事は絶対とばかりに二人で飲みにいくことになる。
そこでも飲み比べをし、また良が勝つ。
悔しさを滲ませつつ全は高校時代の勝負の話をし出す。
それは、どちらが先にイかせるかという内容だった。
当時は自分が勝った話をする全に酔っぱらいとあしらおうとする良。
しかし、自信がないのかと煽られた結果、に二人はホテルに行き―…。

イかし合いからのオトし合いに変化するのって、いいですよね。
ライバル同士のイチャイチャですよ。
しかも、過去にも同じ様な経験があり再会してまた再燃するというアレです。
そして負けず嫌いからのイかせ合いは特定ジャンルにおいて様式美ですね。
そこに何となく感情が見え隠れするのが好きです。

全さんの顔が綺麗だと思っていることを素直に言う良さんと素直になれない全さん…。
ライバルとか競い合ってばかりなのに、良さんの素直なところが出てくるところが良さんの良さを現している気がする。
あと、おっとりというかなんか良い人そうな雰囲気を出している…。
全さんももちろん良い人だろうけれど、基本的にテキパキ、キャンキャンみたいなところが多いため良さんの良さというか素直なところが際立ちますね。
ライバルものは基本的に互いのことになるとどうにも普段の出来を発揮できないどころかダメダメを発動します。
この二人も例外なく、ダメダメ発動しまくります。
全さんもそのことがよく分かっているから頭抱えるしかないですよね。
他の人達に絶対バレたくないですし。
全さんずーっと赤面していて、バレバレなんじゃ…と思いますが、勝気の美人が必死になる姿は良いですね…。
良さんはなんか余裕そうに見えるし、全さんの思い描くものを出してくれるあたり、え、スパダリ要件揃えてきているんじゃ…となりますね。

オトし合いなのでえっちもありますが、そこに特化せず、しっかりと二人の感情の揺れ具合などが描かれていて良かったです。
オチそうになる→悔しがる→煽る→触る→オチそうになる（ループ）
この間に感情があるのが良いですね。

ライバルだとか結構喧嘩腰でギャイギャイやっている割に10年来の友達だろ…みたいな雰囲気になるのが何とも言えない感じ。
正直このセリフには驚いたんですよ。
え、そうなの、そういう意識だったの…と。
ここが良さんの何となく良さげな雰囲気に繋がるんですよね。
しかもこう言っている癖にお互いのこと知らなからもっと知りたいとか言ったり。
その感情、なんて言うかご存じ？
そう尋ねたくなるようなもだもだもありつつも顔を合わせるとケンカップルよろしくになるのが可愛い。

あとは、互いに認め合っているので喧嘩口調にはなるけれど、相手を落とすようなことは言わないのが良いです。
からかい口調までで、それ以上はしない。
相手を傷つけて追い込んでというやり方はしないのがいいな…。
単純に勝ちたいだけ！みたいな感じなので安心して読めます。
でも、これ二人とも勝った後どうするつもりだったとかは一切話してないあたり、詰めが甘いのは互いのことになるとダメダメだからですよね。
ヘタすると片方が本気になっても捨てられるというオチもあるわけですからね。
一応全さんは惚れさせて捨てるのも悪くない、とか言ってますが。
それ、出来るかな…という雰囲気が漂ってますしねぇ。
10年来の友達ですからねぇ。
何せオトした方が勝ち、までしか言っていない。
10年来の友達とか言っているから、捨てるとなるとキツい話になるのですが、これはそうはならないので安心。

アニメイトで購入したので４Pリーフレットが付いていたのですが、読む前から仲良さそうなことがわかる絵ででしたよ※可愛い
中の漫画も体重差について語ってますが、可愛いですね。

末広先生の作品は初めてだったのですが、絵も綺麗で読みやすくて良かったです。
あとがきにて書かれていますが、初めてファンタジー要素がない作品とのこと。
ファンタジーとは…どういう感じなのか気になる…。
また別の作品も読んでみたいな、と思いました。

ケンカップルが好きで、なんだかんだで仲良し。
そして互いを認めている。
そんな関係が好きという方にお勧めです。

6/27追記
すでに重版決定したとのこと、おめでとうございます！
早くないですか？凄い…。
電子書籍だと11ページ描きおろされているようです。
凄い…。
11ページですよ？
基本紙派なのですが、こういう時に電子とぐぬぬ、となってしまいますね。
※カバーとか帯とかいろいろ気になるんですよ…。
今回も帯可愛かったんですよ…。