むくげの日日是好日

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連絡ひとつで愛を買う『CALL』ネタバレ・感想


金の切れ目が縁の切れ目、そう思っていたのに

CALL 朝田ねむい enigma comics オークラ出版

 あらすじ
ハルはお金がなくアルバイトをするも長続きしない。
しかし、支払いは待ってくれず、割のいいバイトを探していると相談しているとゲイ風俗の話をされる。
ハルはノンケでそれはないと言うも、気になり店の前まで来てしまう。
そこでアキヤマに店のキャストと間違われるもおどおどとしたアキヤマの態度に実はキャストだと嘘をつきそのまま食事をする。
そして1時間1万円、という金額を知りアキヤマと時間を過ごすも、キスをして身体の関係はなんとか回避する。
しかし、そんなハルの行動にアキヤマは言われた金額の2倍である10万を渡してくる。
食事をして話しただけでこれだけお金がもらえるならとハルはまた会いたいと言うアキヤマに連絡先を渡すのだった―…。

 

最初の始まりがまずお金ありきなので結構ハルくん酷いなぁ、と思ってしまうかもしれないです。
また、アキヤマさんもずっとハルくんの言うことを聞くのでどうだろう…と思う方もいるかも。
でも、これが徐々に明かされていき、アキヤマさんの行動にも「えぇー?!」という展開に。

ハルくんは最初はお金目当てだったけど、アキヤマさんと過ごして絆されていく感じが可愛かった。
ずっと「いやいや、お金のためだし」と予防線を張っているのに、結局アキヤマさんとの時間が心地よいものになり、そこからどんどんはまりだすのが可愛い。
アキヤマさんはそんなハルくんをどんな気持ちで見ていたのか、と想像すると何とも言えない。

あと、アキヤマさんのハルくんに対しての行動はどう考えてもトラウマ案件でしかなく、キツい書き方になりますが自己満足でもあると思います。
自分のしたことで周りがどうなるか。
勿論、わかっていて、それしか選べなかったという辛さもあるけれどハルくん側からすればやっぱりショックでしかないし、トラウマですよ。
本当に、ハッピーエンドで良かった…。
これ、メリバ展開だったらちょっと……。
こういう場合のメリバは苦手なパターンが多いので本当に良かった…。
幸せ万歳。

アキヤマさんの辛さは結局ハルくんと過ごした時間と周りの人たちとの関係で少しは和らいだのだろう、と思える展開に良かったと思いました。
また、ハルくんもお金がないし騙してでも楽してお金を稼ぐぞ、からアキヤマさんとの出会いで変わったのも良かった。
時間の経過とともに、考え方は変わるしそこを言葉にして伝えているのもいい。
ハルくんのセリフが今までの朝田先生作品に通じるテーマだったりするのも良かった。
時間が経つにつれアキヤマさんの気持ちがわかったり、アキヤマさんが前向きになっているのが本当に良かった。
ハルくんの成長物語でもあるんですよね。
あと、アキヤマさん結構図太いな、と思う発言もあったりして、本当に良かった。
最初の頃のアキヤマさんからかなり変わったんだな。
またその時の顔がかっこいいんですよ…。

帯のセリフも良いし、時間が経ってその答えのセリフも良い。
ハルくん、本当に大変な目に遭って(アキヤマさんのせいなんですが、結果オーライみたいな)こういう風になったんだな~と思うと本当に感慨深い。
アキヤマさんとどうかお幸せに…。

描きおろしは可愛かったです。
いちゃいちゃしていくというか、もっと話したりしていろいろ詰めて行くのだろうと思うと嬉しい。

個人的には今まで読んできた朝田先生の中で一番ラブ度が高いと思います。
日常の辛さがありつつも、救いと甘さがある。
この先が読みたいな…と思う内容でした。

最初にカバーコメントがあり、そこに
浅はかで甘えん坊で自分勝手で必死な年下という属性が好きです」(引用)
とあり、あ…あぁ……と思いました。
そうですね、確かにそういう人結構出てきていますよね……。

特典はイラストペーパー。
いちゃいちゃしているのとまだどっちだろう、段階のハルくんとベッドで横になっているアキヤマさん。

毎回書いていますが、本当に朝田先生の絵が好きなのですが今回も良かった。
ザクザク描いているところも本当に巧いなぁ、と思います。

電子書籍で確認すると結構コミックス未収録作品が多いのでいつか紙書籍で欲しい。
とりあえず今月末にもう一冊発売されるので(8/31発売『リビングデッド』)、そちらも楽しみです。

 

 

紙書籍等