むくげの日日是好日

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言うことをきかないからこんなことになる『兄の忠告』ネタバレ・感想

だから言う事を聞けと言っただろ

兄の忠告 朝田 ねむい Canna Comics プランタン出版
実は…などの設定は無く、がっつり近親相姦ですので苦手な方はご注意ください。

 
あらすじ
ツヅキは仲間たちと一緒にいわゆる美人局的なことをして稼いでいた。
ある日一人の男性に声をかけられるも見覚えがないツヅキだったが、ハジメと名乗るその男性は行方をくらませていた兄だった。
久し振りに会ったハジメに驚くも、誘われるまま着いていくツヅキ。
そこで知るハジメの生活ぶりに驚くツヅキ。
そこで仕事について危ないことをやめておけ、金が必要なら自分がなんとかするとツヅキを説得しようとする。
ハジメの言葉ににツヅキは頷くも翌朝にはハジメの財布から金をくすねて姿を消しまた仲間たちと同じようなことを繰り返すツヅキだった。
しかし、いつも通り上手く行くと思った矢先、その場所はある暴力団のシマで袋叩きに遭ってしまう。
そんな中、幹部と思われる男性が暴行を受けたツヅキの前に現れる。
その人物は先日久しぶりに会った兄のハジメだった―…。

こんなこととは…?
答え:兄に下の世話(意味深)をされる。

血は繋がっているけれど一緒に住んでいないパターンの兄弟です。
家族の事を顧みなかったことへの反省も込みでの弟構いたい。
弟は兄の顔も覚えていない。
近親相姦好きとしてはここが別れ道の一つとなるところですが、良かったです。
兄が弟のことを大切にしている感じが良い。
弟は兄のことを余り覚えていないため、そこは少し弱いですが無条件の愛を向けられて(その割に暴力的には酷い)そこに絆される、という過程が良い。

兄としては裕福になったし、よし家族を迎えに行くぞ!と思っていたのに母親が亡くなっているというのが…。
父親は小さな頃亡くなっているので兄としても家を出た理由は早く家族を助けないと、と思ったのだろうけれど置いて行かれた方は説明なくドロンならも何とも言えない気持にもなりますよね。
兄としても弟が何をしているのかと思えば仲間と自分のシマで美人局しているし、こりゃまいったなぁ、というところですよね。
でも、突っ込まれていましたが、兄も兄でなんとも言えない感じ。
母親に仕送りしてたけれど、母親はそのことを弟に言っていないあたり、どういう経緯で稼いだお金なのか、ということに気付いてたのかな…と思います。
まぁ、兄は刑務所入っていますし、バレますよね。
お金のことも言わないけれど、兄がどういう生活しているのかも言わない(言えない)
ここでまぁ、天秤と言いますか母親の中で調整取っていたのかな。

正直、二人とも別にそんな気持ちサラサラないことから始まっていますし、女性とのやりとりもあり(AV含む)ノンケで兄弟でそんなすんなりいくのか…?
そう思う方もいると思いますが、特殊事情込み(※弟が暴行に遭い兄が介助しないといけない状況)を考えればまあ、許容範囲だと思うのですがどうでしょうか。
逆にここが「ずっと一緒に暮らしてきた兄弟」だと難しかったかも。
兄は弟を大切に思っているけれど、弟からすると他人とは言わずとも覚えてない人なので少し禁忌感が弱まっているのかも。
近親相姦は背徳感や強すぎる共依存が鍵だと思っているのですが、そういうところだけをみると弱いと思います。

あとがきにてwebで描きます、とありましたが先生のサイトで描かれています。
コミックスでも欲しい……。
読むと二人の関係性がより分かるのでぜひ読んでほしい…。
特典などでもそうですが、読まなくても分かるけれど読んだ方がよりわかることがあるのはどうやって全部回収したらいいのか。

特に本編で謎だったものが明かされる時が一番「えぇ…」となります。
嬉しいけれど、特典は一種じゃないことも多いので「もしかして他の謎は他の特典で明かされているのかな?」と疑惑が…。
……全部集めろ、という話なんですけれどね。
恐らく先生にとってそれは謎でもないとか重要じゃないということなんでしょうけれど。
先生もそこまでカバーしきれないよ、という話ですよね。

短編集なので他の作品も入っています。
THE SWERVE
再就職先を探すも上手くいかず、公園で休んでいるとたまたま隣の人の食べているもので意気投合しなぜかそのまま強盗に入るという話。

これはラブか…と言われればラブはなく、バディものだなぁ、という印象
先生もあとがきでBLではないと言っています。
これがデビュー作のようですが、絵の巧さやその他はともかくとして、BL雑誌でデビュー作にラブ要素ナシってよく通ったな…と思いました。
でも、デビュー作から本当に絵が巧い。

毛虫
ラブラブ高校生カップルが失恋した魔女に八つ当たりされて片方が毛虫に見えるという魔法をかけられた話。

毛虫になったのではなく、毛虫に見える魔法というのが何とも。
二人だけの問題だから迷惑だけれど、周りの人は別に困らないという本当に八つ当たりなだけの魔法
どんな姿でも好きだよ、と言うけれど毛虫に見えるまま一緒にいるの無理…となるのはわかりますよね、
しかも、好きな相手だけにそう見られているということ…。
自分では分からないけれど、ずっと「毛虫に見えるんだ」という辛さ。
魔女……ピンポイント魔法かけてきますよね。

ライフインザパーク
童話『ももたろう』をベースにした話。

鬼が島を公園に例え、そこに住みつく人と、役所の人の攻防戦。
先生もあとがきでBL?と言っていますが、これもこの先があればもしかしたらラブも生まれているのかも、という雰囲気。
バディもの……これもこの先があればそういう展開もあるかもしれない。
オチにそういうのは匂わせている。
でも、ラブかと問われればラブはバディよりももっと先にありそうな気がする…というくらいです。

波の音がきこえる
失恋すると作品が出来上がる作家の話。
恋に落ちやすくすぐに失恋するので作品が出来るが本人は失恋しているため憂鬱。
しかしまた新しい恋がやってきて―…。

作品仕上げてほしいために編集者がけしかていて面白かった。
これは続きが読みたいと思いましたが、ここの寸止めがやっぱり余韻とともに良い感じなんだろう。

重要なラブ要素(つまりエロ)ですが、本編内では『毛虫』の高校生が好き好き言っているくらいのいちゃつきがうすーくある程度です。
描き下ろしの中で兄弟の擦り合わせが入るくらいです。
他の作品も読んでいますが、朝田先生はそこを重視していないのかもしれないです。
汁だく、喘ぎ声(AV場面があるため女性の声はある)などはないイメージ。
そこを重視している方だと物足りないと思います。

先生もカバーコメントで「数撃ちゃあたるの精神で~」(引用)とあるようにバラエティ豊かな短編集だと思います。
私の推しは近親相姦好きというだけでなく(説得力無いですけど)『兄の忠告』です。
それぞれの短編の感想にも書いていますがBL色が薄い作品も多いので、BLをがっつり読みたい!というよりはBLだけでなく、話を読みたいという方の方にお勧めです。
どうしてもBL色は薄い……と思うので。

とにかく朝田先生の絵が好き。
その上で近親相姦だったのでホイホイ的にはバッチリの作品でした。




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