うしろめたい感情に包まれて『泡にもなれない恋ならば』ネタバレ・感想
自己犠牲なんかやめればいい
泡にもなれない恋ならば 三月えみ BAMBOO COMICS REIJIN selection 竹書房
あらすじ
大手配給会社に勤務している小林は転職組。
だけど、後悔し始めていた。
理由は何度提出しても却下される自分の仕事、そして一緒にこの会社を受けるはずだった石原。
石原は面接当日急に辞退したのだった。
その理由を問いただしても、やんわりとかわされ続けるがある日他の人から小林の仕事を片付けていたと知る。
何も言わない石原に対し、小林は何とも言えない感情を抱えていたまま転職先の愚痴を言い続ける。
すると石原は他にも趣味を持てば良いと言う。
それなら、石原の趣味を教えて欲しいと小林は言いだす。
石原の趣味、それはのぞき部屋だった。
そのことを知っていて、知りたいと言い小林は石原の後を着いて行き―…。
短編なんですが、もの凄く好きな作品です。
自分のせいで大手に行けなかった、と思っている小林さんと仕事を楽しそうにしている石原さんの対比。
しかも、大手に行った小林さんは上司の赤木さんと上手くいかない。
何度提案しても返されてしまうし、周りともぎくしゃくしている。
入った経緯や自分が立っているところとか考えてしまってグルグル悩む。
せめて、石原さんの問題だけでも、という結果が「石原さんの趣味であるのぞき部屋に自ら参加」という……。
のぞき部屋が趣味っていうのもなかなかですが、小林さんはそのことをいつ知ったのか。
その辺りは謎のまま。
石原さんの「自己犠牲は美しくない」という言葉も好き。
自己犠牲って言うと、なんだか美徳に思われがちな場面も多いですが(自己犠牲とは明言されていなくても、言動の結果がそういうことにつながる)辛すぎることも多いと思います。
いや、石原と小林の場合はそういうはともかくとして「素直になれよ」案件なんですが。
小林さんと上手くいっていない(小林さんが却下されまくりで少し拗らせた感じです)赤木さんもいいんですよ!
同時収録の神様シリーズも好き。
神様シリーズ
あらすじ
町役場には神と呼ばれる赤石という男がいる。
赤石は霊を感じる事ができ、それゆえ周りに浮遊する霊と対話ができる。
そんな赤石が悩んでいる人の気持ちを軽くする話。
収録作品は3話(内1話は前後編)
赤石さんの神様っぷりがいいんですよ。
自ら「このあたりでは「神」って呼ばれてます」(ドヤッ!ニコ!)
しかも、ポスターも作ってあるのがいい。
防犯ポスターにも抜擢されていて「やめなさい 神様が見ている」というコピー。
本当にいいなぁ。
でも、内容は麗人らしくしっかりとエロが入ってくる。
何せ麗人のコピーは「ヤバいくらいにアダルト 痛いくらいにドラマチック」ですからね。
好きな展開の中に「一目置かれる人間もただの人間である」があるのでこの話はど真ん中なんですよね。
誰かに重点的負荷がかかる場合、そこを何とか打破する展開(存在)があるほうが好きなんです。
続編があるようで楽しみ。
『いい子でごめんね!』
あらすじ
世良は叔父である翠のことが好き。
きっかけは小さな頃からおしおきと言ってくすぐられていた。
体を触ってほしくてわざと勉強が苦手の振りをしていたのだが、ある日勃起してしまう。
その流れにのりキスをするも、それ以上は翠から「いい子にはまだ早い」と言われ拒否される。
それから世良は「いい子」でなくなるためにヤンキーの真似ごとをするようになるのだが、見かねた両親が翠にもう一度勉強をみてほしいと頼み、久し振りに会うことになる―…。
いい子でなくなる=ヤンキーだ!
この発想が可愛いけれど、心配だな、という叔父。
翠さんは翠さんで兄の家で甥にいろいろしてしまうのは、どうなんですかね…と思いましたが、可愛いからいいかな。
くすぐり案件も気になる人は気になると思いますが、まぁ、いいかな……。
くすぐってそのまま性的な触りに発展させるのは、いかがなものかな、とチラつきますがフィクションですからね!
特典ペーパーも可愛くて良かった。
表紙→口絵も素晴らしいな!と思いますが、特典ペーパーの絵も素敵(特約店限定ペーパー)
内容は四コマでした。
そんな納得の仕方、ある?と思うけれど、石原さんの意見を素直に取り入れる小林さんとそうとは知らないけれど、あっさり受け入れる赤木さん。
可愛いな!
三月先生の絵は綺麗で好きです。
それなのに、しっかりとエロを入れてくるのがね…。
擬音語が気になるんですよ「ヌロロ…」ってなんだか凄い。
線が綺麗でさっぱり気味な印象ですが本当に綺麗。
少女漫画でも描いていますが、クリーミィマミのスピンオフも描いています。
先生の絵と合っていて、いいんですよ!
違和感なくて、凄い。
めぐみさん、美人。
あのきつそうで、可愛いのがぎゅっと凝縮されているんですよ。
先生の絵が本当に好き。