むくげの日日是好日

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いいではないか、なんてとんでもない!上下関係も里の掟も関係ない『若様隠密帖』ネタバレ・感想

溺愛したいし、されたいのに!

若様隠密帖 内田カヲル BAMBOO COMICS REIJIN selection  竹書房 全2巻


あらすじ
忍びの里から下りて草として生活をする太助。
忍びの技術が足りないことは本人もよくわかっていた。
忍びとは違う生活に慣れ、穏やかな生活を送る太助。
だが、そこに異を唱えるかのように現れたのか里の跡継ぎ候補の「若様」。
里の中でも圧倒的な力で跡継ぎとしては申し分ない。
そんな若様が太助の元に通い妻をしているという現実に太助は困っていたのだが―…。

忍者ラブコメ
超絶美形の若様が受けです。
愛してほしい!とグイグイくるタイプの受けです。
表紙の枕をもってのほほんとしっかりと抱きしめられている方が攻め。
同じ歳ですが「若様と下忍」という圧倒的縦社会(矛盾していますが、その割に色々緩い)の中必死にアプローチをし続ける若様。
太助くんも若様に対しては憧れと尊敬と恋愛の全ての感情が綯交ぜになっていて、その上での「里の掟」と「相手が若様」という問題。
そんな太助くんに文句を言いながらも夢中な若様は「娶って」と言いながら婚約者問題跡継ぎ問題などをどう乗り越えて行くか、という作品です。

内田先生×忍者もの。
もともと忍者ものが大好きなのですが、ここに内田先生という派手な忍術もおかませあれな画力と筋肉で全てをねじ伏せて行くスタイル。
内田先生と言えば、筋肉少しテンポのずれたほのぼの要素
この作品では毛要素はありませんが(網タイツ…鎖帷子なので絡みますしね!)
そしてそれらを可能にする内田先生の画力ですよ。
他にヒーローものの作品もありますが、先生ご自身も好きということなのですが、アクションシーンも派手で良いですよ。
忍びらしい血もドバドバです。
いわゆる騙し合い的な忍術よりは後書きにあるように「アメリカン忍者」、「NINJA」と表記されそうな雰囲気もありますが、動きのある忍者絵が良いです。
表紙がアメコミ風なのは先生の提案。
作品内容とばっちり合っていて素敵な表紙。

もちろんBLベースなので、ちゃんとラブもありますよ!

太助くん、可愛いと思っていたのですが、周りの評価が「可愛くない」という事実に太助くん同様驚きましたよ。
※太助くんは自分は「普通」だと思っていた。
確かに若様は何度も「可愛い」と言っていますし容姿云々ではない「太助という存在そのもの」だとは思っていましたが…。
可愛いと思うのに……。
若様は超絶美形。
太助くんのこととなるとなりふり構わず暴走するタイプ(しかも強い)なので結構迷惑なんですが、太助君が大好き添い遂げるぞ!!という気マンマンで可愛いんですよね。

忍びとしての技術は足りない。
でも、里から下りてしっかりと働いているところをみると新たなコミュニティにも溶け込みやすいので諜報員向き。
ただし、本人は無意識の脱力スキル発動なんですよね…。
そしてこの脱力スキル、ほんわかな雰囲気が若様お気に入りなんですよね。
裏表なく、ただいつでも「太助」

一点疑問。
働いているけれど、どうやって面接受けたんだろう?小さな頃から忍者教育なので口ききみたいなのがあるのかな?

とにかく若様がどんな時も「太助!太助!」と夢中なのが可愛い作品です。
もちろんそれだけでなく、若様の重大な秘密も太助と絡んできます。
下巻では跡継ぎ問題が深刻化し弟も登場。
弟に仕える二人の忍びも良いんですよ!
跡継ぎ問題はもちろん揉めて親族巻き込んだ大騒動に発展します。
ですが、ここで太助の良さがしっかりと出るのが良い。
ずっと若様が「太助❤」しか言っていませんが、太助の良さも十分発揮されます。

下巻の同時収録

隣はなにをするひとぞ。
ジオラマ作家と現場作業員の話。
制作をひと段落させて寝ようとした時に響く工事現場の音。
眠れないと怒ろうとするもそこにいたのは好みの人で―…。

やっぱり内田先生の「可愛い」はキャーという擬音語が付きそうなほど感情が昂ぶっているのがわかって良い。
そして「ハイジ」みたい、の「ハイジ」って……「アルプスの少女 ハイジ」の「ハイジ」?
違うハイジがいるのかな…。

「日焼けした顔に赤いホッペ そしてエンジの作業服…」(引用)
赤いホッペにエンジ…やっぱりあのハイジ?
パンにも反応しているし。
こちらもほどよい緩さが心地よい作品です。


格好良いのに、太助くんのこととなると可愛くなってしまう若様。
そんな若様を可愛いなぁ、格好いいなぁ、と思う太助くんのラブコメです。
スカっとしたい時にお勧めです。