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殺されたはずなのに、何故か知らない男の実験台に『スリーピングデッド』ネタバレ・感想

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スリーピングデッド 朝田 ねむい Canna Comics プランタン出版

あらすじ
高校教師の佐田聖二は学生からの人気もあり、同僚からの信頼も厚い。
最近物騒な事件が起きているため、教師が交代で夜に見回ることになる。
佐田は当番ではなかったが、野上の代わりに見回りに行くことに。
カップルらしき二人組を見つけた佐田が声をかけると、女性はナイフで刺されところだった。
刺した相手は佐田に見られたことで追いかけ、そして佐田は刺されてしまう。
しかし、刺されたはずの佐田は知らない場所で目が覚める。
病院かと思う佐田だったが、実はすでに死んでおり間宮と名乗る男が佐田を生き返らせたのだと言いだし―…。
※ゾンビ作品なので表紙に臓器が映っています。
苦手な方はご注意ください。

 

偶然が繋がれば必然となるのか

 

人当たりも良く生徒からも同僚からも評判が良い人が事件に遭遇してゾンビになってしまう。
その上、勝手にゾンビにしてきた相手に軟禁された上に研究材料にされてしまう佐田さん。
ゾンビだから平気だろう、僕の研究に付き合って!
そう言いながら佐田先生の体を切り開き臓器を取り出す間宮さん。
死なないけれど痛みはあるから拷問ですよ。

同じ境遇なのは実験の成功例である「モン吉(サル)」だけ。
このモン吉との交流が良かった。
何とも言えない世界観の中で、癒しであるモン吉
ただし、このモン吉の兄弟は間宮さんによって殺されているので、間宮さんには懐かない……。
この辺りの間宮さんの性格付けがわかりやすい提示で良かった。
マッドサイエンティストであり、生死観がずれていて(※少なくとも佐田さんとは)研究のためなら自分に関係ない人間の死などどうでもいい。
むしろ、研究に役立つんだからくらいの勢いなのがいい。

ただ、全体を通して佐田さんも人当たりの良い人からゾンビになると言う稀有な体験のためなのか、割と性格が達観している節があります。
順応性、といいますか。
そんなに簡単に間宮さんの言うことを受け入れていいのか、と思うけれどゾンビになってしまった以上間宮さんと上手く共存するしかない、と思っているのかな。
食糧補給のために犯罪に手を染めることに対し葛藤はあるけれど、結局遂行してしまう。
そして、その際には命の選別もしている。
もともとの資質であるならば、これはこの先明かされるかもしれない。

上巻は恋愛に重き、というよりもあくまで世界観を見せる感じでした。
ただ、下巻への引きの部分が何故間宮さんがこうなったのか、そして佐田先生とは一体どういう繋がりなのか。
その辺りを示唆していて良かったです。
色恋抜きにして面白いけれど、ここにどんな風にラブを入れてくるのか興味があります。
連載中ですが、上巻とあるので2冊で完結ということでプロット出しているのかな?と思っていますが、どうだろう。
最近の上下巻って割と同時発売が多い印象なので。
増えたら中巻が出てくるのか、どうか。

ゾンビBL.というジャンルは初めてでしたが面白かったです。
BL色に関しては薄いと感じる方もいるようですが、個人的には十分甘さを含んだ内容だと思いました。
ちなみに、先生が特典用に描いていた漫画も面白かったのですが保留にして描き直した、というのもわかる気がします※Twitterにて発表されてました。
アニメイト特典の方は甘い内容だったので(コミックス描き下ろしよりも接触ある分甘いかな)BL補給、という点ではこちらで良かったのかな。
帯がすべすべで好きな感触です。
黒地に蛍光グリーンと銀色!!

ミステリーものが好きなので、野上先生が何か…と思いましたが体格的に違うっぽいですからね。
裏で操る系などでもいいけれど。
まだ上巻ということもあり、この先が本当に楽しみな作品です。
ただ、ゾンビBLということもあり佐田さんの食事は全て死体ということを考えると苦手な方はご注意ください。
あと、研究のために体を開かれて苦しむ描写もありますのでこの点もダメな方いるかもしれないです。

 
紙書籍等
朝田 ねむい プランタン出版 2021年08月31日
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