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BLコミックの感想日記

一人アンソロ!その言葉がぴったりな短編集『センセイ・コレクション』感想・ネタバレ


一人アンソロのようなバラエティ豊かな短編集!

センセイ・コレクション 市ヶ谷 茅 fleur comics MEDIA FACTORY

先生をテーマにした短編集です。

つける薬がなくても』(患者×医者)

あらすじ

海のそばにある仁科医院には怪我をするサーファーがよく受診に来る。
柚瀬もその内の一人。
モテそうな雰囲気の柚瀬に看護師が何気なく尋ねれば自分はゲイだと言い―…。


小さな所なので、自分の性的指向がバレると困ると悩んでいる仁科さんからすれば柚瀬さんの発言は大きな事なんですよね。
仁科さんがずっと隠して必死に守っていた世界がぐらつくほどに。
でも、仁科さんはやっぱり公にすることはできない。
だからこそもどかしく、柚瀬さんが眩しく見える。
個人的には性的指向は公にする必要などないし、そのことで不利益が生じるなら誤魔化してもいいと思います。
自分とは異なる性的指向を理解しない人がいる世界なんておかしい!
そう声を上げる事ももちろん分かりますが、理解できないという人がいることもあると思います。※どちらかだけを肯定しているわけではないです。

仁科は自分が置かれている立場を考えて今まで隠し続けてきた。
柚瀬のように思い切って言ったらいいのか、でも……。
悩んで当然ですし、急に変わる事はできない。
それは自分も、他人も。
自分は変われるかもしれないけれど、それを相手に押し付けるのは違うと思います。
変わって欲しいと願うことと変わらないとおかしいと圧をかけるのは全く別のものですよね。
あと、この「変わる」に関しても人の数だけ思いがあると思うとなかなか難しいですよね。
必ずしも自分の考えが相手の正しさと合致しませんしね。

この話の中で柚瀬さんに対し「格好いいのにゲイだなんてもったいない」という場面があって(会話をしている人達に悪気はない)、これがキツイなぁ、と思いました。
これは性別関係なくうわぁ、と思う発言でありこの話を端的に説明する重要な場面だなと思います。
凄く分かりやすい。

柚瀬さんの良いところは、仁科がグルグルと悩んでいることを肯定するところ。
生活(場所や職業等)によって、性的指向を明言しやすい人としにくい人がいる。
また、性格にもよる。
だから仁科さんは悩む必要はない、今まで通りで良くて自分はそんな仁科さんの話を聞くよ、というこのスタンス。

仁科さんに柚瀬さんが現れて良かった。
仁科さん……柚瀬さんが現れるまで恋人いなかったんですよ……。
ずっと一人でグルグル悩んでいたんですよ……。

良かった。

ちょっと重めの感想になってしまいましたが、短編で問題提起もありますが自分にとって素敵な人を見つけられた、ということで気持ちが楽になる。

短編なのに綺麗に片付いて読後感も良いのですよ!

重めの感想書いてしまうと本当に進めているのかと問われそうですが、好きな作品です。


スイもアマイも』(習字の先生と料理講師)※受け攻め描写なし。

あらすじ


料理講師をしている田辺のところに新たな生徒がやってくる。
上級者向けであるはずなのに、料理をするのは中学校の家庭科以来だと言う。
結婚を半年後に控えており、相手を驚かせたくて敢えて上級者に挑んできたという相手に疲れる田辺。
そして疲れた田辺を迎えにくるきーちゃんと田辺はゆっくりと会話を始めるのだった―…。

 

70歳くらい同士の話なので私にとっては有難う!ですが、苦手な方はご注意くださいね。

自然と田辺さんが受けだろうな、と思いながら読んでいましたが……よくよく考えたら描写ないしと表記しませんでした。
田辺さんがウリの押し売りにあっているところを助けたという慣れ染めもあるもどちらかは明記されていない。
でも、きーちゃんが男前だし、市ヶ谷先生の攻めっぽい感じがあるんだけれど……。

この作品は大好きな年齢を重ねてもずっと一緒だったパターンです!
もう、幸せで良かった……と思う作品。
市ヶ谷先生もこういうのもひとつの形、と言っていますがこれが見たいんですよ……。
ほのぼのしていて、幸せしかないです。
ただ、セックスシーンもないので物足りない方もいるかもしれないです……。
ただただ幸せな二人が見たい方にはぜひ!



Love Lab』(博士×助手)

 

あらすじ

2100年も間近な世界、サイボーク化をすることがセレブの間で流行り出した。
サイボーク化した部分に施す人造皮膚。
その第一人者であるフォルツ博士は脚フェチだった。
人造皮膚はあるが、それは実際の人間の皮膚を模造することは禁止であり、例外は摸造元である本人のみ。
だが、フォルツの元で働くリーエはある疑念を抱いており―…。

フェチ全開な話。
脚フェチだからサイボーグの開発者の第一人者になってしかもサイボーグ部分に被せる人造皮膚がもの凄く評判良くて売れまくり!
お、おお……。
好きな物を極めて最高だな、という話ですよ。
その上、傍には理想の脚をもつリーエがいるんですよ……。
お、おお……。
最高ですよね。

可愛いのは小悪魔的なリーエがフォルツさんを手玉に取るところですよ……。
関係持った途端呼び方変えてくるフォルツさん…。
そして絆されているのはどちらなのか、というところですよ……。

ちょっと世界観的に「サイボーク化するのがセレブの間で流行る」というのがじわじわきます。
今だと必要だからこその義手や義足などですが、2100年には自由にサイボーク化か……。
しかも、人造皮膚で美しく自分の理想の体を手に入れるというところとか……。
あれ、『銀河鉄道999』的な要素なのか…?
すごくファッション的な感覚でサイボーク化しているんですけれどね。
命どうとかではなく。
きっと老いに対する恐怖と理想なのかな。
ただ、寿命を延ばすわけではなく美しい体のまま生きていたい、という感じに見えます。

フェチと年齢差が上手く合わさった作品で好きです。
どうせフェチならここまで行ってほしい、というところと平和で幸せだという微妙なラインを描かれている。
フェチもの好きなんですが、線引き加減で犯罪臭が気になってしまうこともあるんですよね。
本当、人の好みってそれぞれで難しいですよね。
だからこそ、好みの作品を見つけた時の感動たるや……。

もっと語彙力が欲しい。
もっと上手く説明出来ればお勧めしている感が出るはず……。


プリーズ・テルミー』(教師×生徒)

あらすじ

生徒である多田と教師である古橋。
二人は恋人同士だったが、まだ体の関係はない。
だが、卒業が近づくにつれ多田が古橋に何度も関係を求めてくるようになり―…。

 

王道の教師と生徒もの!
可愛いし、体の関係がなければ卒業後離れていくかも……遠距離不安!
そんな甘酸っぱい感情をそのまま古橋さんにぶつける多田くん。
可愛い。
でも、ちゃんと進路を考えているところとか、自分との恋愛のせいで将来を潰すなという古橋さんがいい…。
学生物はわりとこの辺りが気になるので恋愛も良いけれど、未来も大事というところがしっかりと描かれていて良かった。
卒業するまでキスもしないとか……ああああ、古橋さん……。
多田くんがずっと焦れてるのも可愛い。
体の関係がなければ大切にしている、していないという話ではなくて古橋さんがとにかく多田くんが大切で可愛いのがわかる…。
※学生の内に手を出す教師や生徒が出てくる話も嫌いじゃないです。話の問題。

描き下ろしは卒業後の二人の話。
可愛いままで良かった!


あをき嵐の山より来たる』(土地神×鷹匠

 

あらすじ

山の神から預かった青嵐という鷹。
その鷹を預かる期間は社を建てる3年の間。
青嵐は全七の師匠である季彦によく懐いていたのだが―…。

 

最後は神様!
人外まで……。
お、おお……。
もの凄くバラエティに富んでますな。
先生も一人アンソロみたいと言っていますが、本当有難うございます。

この青嵐様かっこいいんですよ。
鷹の姿はもちろん、人の時も。

そしてもの凄く季彦さんを大切にしてるのがよくわかって良いですよ。
季彦さんももちろん青嵐様に夢中ですよ……。

今回の作品は本当にこれでもか!というほどに色々な設定なので組み合わせに拒絶反応がなければお勧めです。

回りくどい言い回しになるので上手く伝わってない気がしますが、総じると「好みで可愛い組み合わせが沢山!」ということです。

市ヶ谷先生は年齢差の作品が多いので嬉しい……。
他の作品も素敵なのでまた紹介したいです。

※紙書籍ではなく電子書籍のページです。