むくげの日日是好日

BLコミックの感想日記。このブログはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

あの時、なんて言葉は無意味『≠ノットイコール』ネタバレ・感想


過去も未来も現在も全部欲しい

≠ノットイコール 池 玲文 SUPER BBC Libre 全2巻

重要なネタバレがあるので気になる人はご注意ください。

 


あらすじ

小さな頃離婚した父親に会いに行く凉。
最後に会った時の印象は、若いお兄さんというもの。
緊張しながら家を尋ねると、作業中らしく汚れた格好で現れしかも酷く驚いた様子だった。
驚く様子に会えて嬉しかったなどの言葉がない事に軽くショックを受ける凉。
しかし、次の日現れたのは小さな頃に会ったように綺麗に身なりを整えた姿だった。
母親のことを聞かれ、再婚する予定と答えても反応が薄い父親に興味がないのかと思う。
相手をされないことに憂鬱になりつつ携帯が手から滑り落ち拾おうとした時、不思議な感覚に包まれる。
気付くと同じ場所のはずがなんだか違って見え、声をかけてきた少年は喪服を着ていた。
以前亡くなった祖母匿っていた人物と間違われそのまま家に上がるも先程までいた家とは違い戸惑う。
相手をしてくれる少年に名前を聞くと、彼は「末続果」と名乗った。
その名は、父の名前だと慌ててカレンダーを確認するとそこは22年前の日付になっていた―…。


・近親相姦→父息子。子攻め。
・タイムスリップ→近親相姦の理由。
・結婚した理由→タイムスリップのせい。
・すでに離婚済み→父親は遠くに住んでいて小さな頃会ったきり。
・小さな頃の印象は若いお兄さん→それだけでないらしく赤くなっている。
・父親の家族問題→割と重め
・現代では父子→タイムスリップ中は14歳と17歳と歳の差逆転。

要素がてんこ盛りなのに綺麗に纏まっている。
タイムスリップものというだけでも難しいのに、ここに近親相姦要素を入れてくる。
しかも、しっかりと意味あるし重めの展開が続きますがそれでも綺麗に纏めてくるのは先生の力量ですよね。
もっと伸ばそうと思えば伸ばせそうな内容なんですが、サクサクと進められ物足りなさが感じられない。
果さんの家族問題は何故そこまで果さんに対し冷たいのか?と少し疑問が残りますがここを掘り下げる意味もあまりないか。
とにかく果さんが家族と仲が悪いということが端的に表現されています。
果さん……。
小さな頃から……辛いことが多い。

がっつり近親相姦なのに、なんとも言えない雰囲気が漂うのはタイムスリップ要素が強いから。
また、近親相姦だけでなく、タイムスリップという荒技で年下攻めと年上攻め一冊で何粒美味しいのか分からない状態。

そして、血は繋がっているけれど一緒には住んでいない場合の近親相姦濃度(?)はどうなのか問題。
何故なら、一緒に住んでいないといくら血が繋がっていても「知らない要素満載」になりますからね。
特に小さな頃から会ってないなんて、その要素が強くなる。

でも、近親相姦故の葛藤が多く(親子だし)話が面白い。

先生自身は「実は血の繋がりはありませんでした」オチを期待されていたら(要約)、とあとがきで書いていますが、テーマ的には外せませんよね。
先生も「血が繋がっているからこそのテーマ」だと言っています。

タイムスリップ要素がなければ、実は…オチもアリでしょうけれど。
池先生なので(?)しっかりとえっちなシーンもありますよ。

母親も出てきますが、サバサバしていて良いです。
別れた夫に対しても、サバサバしている。
素敵な女性という感じに描かれています。
果さんがキツさを感じるほどに。
何せ子供とそういうことになっているって……どんな顔をしたらいいのか分からない。
この先を思うとバレないように必死だろうな。

池先生も『8人の戦士』からデジタルに移行されたそうですが、凄いですよね。
思考錯誤されたと言われていますが、違和感がない。
アシスタント入れずに一人で描いていたと言われているので、デジタルになっても変わらないのでしょうね。
その上、先生デジタル用の素材作っては使ってね!と配布しているし。

8人の戦士』もあの設定を纏めるのが凄いと思います。
綺麗な絵でギャグにしかならないようなことも真面目な設定に落とし込むのが上手い。
一瞬「え?」と思うのに、しかりと設定を作り込む事で「そういう世界なんだな」と思わせやすくするの、本当に凄い。
しかも、平和なんですよね。

他にも近親相姦ネタを描かれているので、また紹介したいと思います。
少し重めの内容で近親相姦ならではの葛藤が盛りだくさんです。
そういうのが好き!と言う方にはぜひ。
描き下ろしは甘い二人です。

こちらにはこの二人の短編が入っています。
この作品読んで近親相姦だ!とウキウキしながら『≠ノットイコール』を購入しました。