むくげの日日是好日

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血の繋がりがない弟への恋慕『きみは僕の嘘』ネタバレ・感想


隠した想いを嘘と名付けた兄の視線の先

きみは僕の嘘 四宮 和 H&C Comics ihr HertZ Series 大洋図書

 


あらすじ

写真家の父をもつ瀬名光基。
光基もまた、父の姿を見て大学で写真を続けていた。
写真家の父は自由に被写体を求め再婚後一年も経たずに光基置いて出て行く。
再婚先に残された光基だったが、家族として上手くやっていた。
中でも義弟の侑季は光基のことを「にぃ」と呼び懐いていた。
時には光基の布団にもぐりこんでくるほど。
だが、その義弟の無邪気な様子に光基は何ともいえない気持ちを抱えており―…。


コミックスにもはっきりと義理とありますので「血が繋がっているのかどうかとハラハラすることのない兄弟もの」です。

・お父さんが自由すぎる※義母はその自由さも愛しているので大丈夫だと言いつつも子供的には?な案件。
・家族全員光基に優しい※ギスギス苦手な人も安心。
・光基はわりと下半身事情は落ち着いていない※続いている人は1人で今までも何人かいたことを匂わせあり。
・義母と義姉が全てわかっているよオーラ全開※ヒリヒリが苦手な人も安心。
・父親は最後まで自由が過ぎる※げ、芸術家だから……。


兄弟ものは好きだけど、血が繋がっているのは嫌。
兄弟ものは好きだけど、血は繋がって無いと嫌。だけど、共異存が強いなら考えないでもない。

そういう方にお勧めしやすい内容となっています。

小さな頃から血の繋がりはないと認識し、父親は出ていっている(置いていったともいえる。光基はそう思っている)という状態での兄弟もの。
兄は当然のように「家族を壊したくない、自分の感情よりも居場所が大事」と考えています。
……これはこうなるよね、と思います。
義母と義姉はおおらかな人達で光基に自由でいてほしいと思っている。
また、大学の教授も同じようなことを言い続けることから光基がしっかりと周りとの関係を重要視しているかがわかります。

父親に関しては「芸術家だから」という免罪符がこれほどまで効力を得ているかと…。※世界的に有名な写真家
もちろん情熱は大切だけれど、小さな子供を置いていくのか。
託す先は再婚した女性。
プライベートな話なので当人同士が良ければ良いのですが。
当人には本来子供も含まれるはずだけど……。
こうなってしまうと光基が感情を抑制するのは仕方ないな、と。
ま、その抑制理由の大半は義弟のことが好きだからでもあるんですけれど。

あと、光基は義弟への感情を抑えてはいますが下半身はそうはいかないわけですよ。
お約束のその場面を義弟に知られてしまいますし、義弟自身も独占欲に気付き始めるわけです。

元々お兄ちゃん大好き!お兄ちゃん好きだからお布団一緒に入って寝たい!※高校3年生
ですからね。
お兄ちゃん見つけてやったー!となったのに色気ダダ漏れ状態でセフレ(ちゃんと友人関係でもある)とイチャイチャしていたらブチ切れますよね。
でも、お兄ちゃんは分かっていないのが……何故なの……。
何故両片想いの面々は常に相手の感情だけは察することができないの……。
他の人に対しては超人的な察知能力発揮するくせに……。

また、父親に関しては色々思う物の、職業についてはやっぱり切り離せず光基自身も写真で受賞していたり大学の研究室に残る事を勧められたりと大きな影響を受けている。
これも父親譲りの才能で片付けられるのかなぁ、と少し思ったりもしましたが……。※言う方には悪気はない。
確かに小さな頃からカメラというものがあり父の写真を山ほど見ていただろうから全く関係ないとは言わないけれど。
あと、教授が父親の学生時代と比べていることから恐らく同じ学校だと思います。
教授視点でみればクセなども気付いてそういうことも含めて「父親譲り」なのかもしれない。

描き下ろしは3年後の二人です。
大学生になったのに子供扱いしないでというアレです。
可愛いです。

セックスシーンは所謂朝チュン程度ですのでガッツリしたのが見たい方だと少し残念に思うかもしれません。
四宮先生はどちらかというとどの作品もお色気シーンが少なめの印象。※現在までに3作品読んでの感想です。

タイトルに「嘘」が入っていたので4月1日の紹介作品に選びました。
ただ、嘘らしい嘘というよりは抑制の方がメインに感じました。
その抑制からの解放がテーマなので光基良かったねと思いました。

父親に関しては引っかかるかもですが、義母、義姉ともにBLあるあるの理解ある人々なのでギリギリせず読めると思います。