むくげの日日是好日

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友達になってくれるって言ったくせに『さよなら、愛しのマイフレンド』ネタバレ・感想


初めてできた、友達だから


さよなら、愛しのマイフレンド エンゾウ EYES COMICS BLink 集英社 全2巻
思い切りネタバレしていますので苦手な人はご注意ください。

 

あらすじ

安藤はスタイリスト。
ある日モデルから誘ってきた食事を断られ、しかも理由をぼかされる。
だが、同業の羽賀と行くことになったことを知る。
羽賀はモデルから人気があるスタイリスト。
愛想は悪く、言いたい事もはっきり言う為周りと距離がある。
そして、来る者を拒まない性格。
後日モデルと揉めた羽賀に安藤はこの状態はまずいと人との距離について語る。
すると羽賀に友達がいないことを知り、友達になろうと申し出るのだった―…。

面倒見の良い人と何を考えているかわからない人の話。
顔が綺麗でどんな性格でも構わない。
モテまくり。
そんな羽賀に対し、もう少し人づきあい考えようよ、とおせっかいを焼いてしまう安藤。

スタイリストということは人と接するだろうに、ここまで愛想悪くて言いたい事ハッキリ言って(正論だと言われていますが、相手泣かしても気にしない)仕事としてよく成り立っていたなぁ、と思うのですが、実際のスタイリストの仕事ってテレビの密着取材くらいでしか知らないのですが、どうですか。

仕事が出来ればいい、顔が良ければ全て帳消し。
そういうものなのかな?
一瞬考えてしまいますが、恋愛が主軸なんだから重要なことは「攻めがどうやって受けの懐に入り込むか」の一点ですよね(酷い)

友達がいなかった羽賀さんにとって初めての友達である安藤さんは大切な存在。
最初は疎ましく思っていたけれど、どんどんそのお節介が心地よく、甘えて行く。
そうなると安藤さんもなんだ、可愛いな、よしよしこの調子で皆と仲良くなるんだぞ!
あれ、おかしいな……皆と仲良くするの嬉しいはずなのに、それが目的なのに、どうしてこんなに胸が苦しいの!
……そうですね、それはアレです。
ですね。
でも羽賀さんの方は友達が出来た!やったー!顔には出ないけど、嬉しい!!友達関係崩したくないな!!!
という状態なわけですよ。
安藤さんは羽賀さんのことを思って構っていた自分のはずが感情まで乱されてしまうし、羽賀さんはこのままが最高。このままがいいとか思っている。
だって、友達なんて知らなかったから。

知った「友達」ってなんて最高なの!と思っているから。
すれ違いですね。
ツンだった羽賀さんがどんどん甘えて行く様子が可愛いです。
羽賀さんは来る者拒まずだったので女性との関係など色々言われています。
女性が絡むのは絶対嫌、という人がご注意ください。

もし、恋だとして~さよなら、愛しのマイフレンド~
あらすじ
羽賀の兄・真は小さな頃から出来の良い弟と比べ続けられていた。
そんな人生にある種の諦めを持ちつつも苛立つ感情を消すことも出来ず毎日を過ごしていた。
ある日、後輩・水沢が真に告白してくる。
恋愛感情はない相手だったが、自分を好きだという言葉に縋るように真は告白を受け入れるのだった―…。

愛されていないというか、弟との差からの弟への嫉妬。
それをぶつけるのは「告白してきた相手」
好きでなくても、自分を望んでくれるなら、それだけでいい。
真っ直ぐな水沢さんを知れば知るほど辛くなるパターンですよ。
辛い。

出来が良い弟と比べ続けられる兄。
母親からの当たりが強いため、ストレスを抱えているのが辛い。
何でも出来る弟は何も欲しがらない。
小さな頃は兄も弟に優しくしようとする描写もあるのですが、母親によってその気持ちも薄れて行く。
兄の呪縛は愛によって解けますが、この先どうなるのかと思いました。
母親のことは結局何も解決していない(解決のしようがないともいう)
とりあえず実家住まいなのを止めるとか。
母親はそうなった時に色々言いそうだけど、呪縛が解ければきっと自由に出来るのではないか、と思います。
あと、弟は息苦しくて家を出た、とありますが兄は弟の分も応えいたいと思ったのだろうし、その分苦しかったとも思います。
でも、愛の力を得たのでもういいかな、となりそう。
ただ、優しいというところもあると思うので、自身が解放されたからといって実行に移す時には辛いかもしれない。
水沢さんがいるから……結果的には振り切るかな、と思います。


1巻の同時収録
鬼束先生のお気に入り
あらすじ
立ち入り禁止の屋上で雑誌の袋とじを開けようとしたところ、鬼塚先生に見つかり注意を受けた上に雑誌を取り上げられた桃矢
放課後になり雑誌を取りに行くと、そこにはBL同人誌があった。
鬼束先生の趣味なのか、とこれで脅そうと考えた桃矢は恥ずかしいだろうと声に出して読み始めるも激しい言葉に戸惑ってしまう。
だが、鬼塚の売り言葉により更に同人誌を音読させられてしまう―…。

他の登場人物全て「桃太郎」から。
ちょっとしたプレイ気味な話です。

2巻ものになる→(1巻ではくっつかないため)えっちなシーンのお預け!読者ががっかりしちゃう!そんなのダメダメ!じゃぁ、描き下ろしましょう、そうしましょう。

その結果、先生が出版社に缶詰(一週間)になるという……※先生は軟禁お邪魔しますと書いています。
一週間の連泊は結構長い方じゃないかな。
先生だけでなく、必然的に担当も寝泊まり。
ひ、ひええぇ。
先生が終わるまで担当も帰れない。つまり一週間……。
ひ、ひええぇ。
エンゾウ先生のあとがきの内容に驚いたのですが、先生はここに住みたいと書いているので(皆さん優しいらしい)全然悲壮感がない。
エンゾウ先生のあとがき漫画面白いんですよね。
自画像が(^ω^)なのですが、感情が伝わってくるんですよね。

ドロドロエッチではないですがもどかしい恋愛が読みたい時にお勧め。
ただし、人によっては家族ネタがが少し重くて気になるかもしれません。
ただ、羽賀兄弟二人とも愛によって今までの環境を変える作品なので、読後感は悪くないと思います。