むくげの日日是好日

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結婚しよう。相手は誰でもいい。とにかく結婚しよう『僕のミーちゃん』ネタバレ・感想

そうだ、結婚しよう!だけど現れたお見合い相手は同性でした!

 

僕のミーちゃん 未散 ソノオ Chara COMICS 徳間書店

あらすじ

入院中の祖母の調子が悪くせめて結婚して安心させてあげたい。
そう考える山ノ内森魚は懇意にしている結婚相談所の戸張に連絡する。
山ノ内家は資産が多く、急いで相手を見つけるのは難しいという戸張だったが、森魚はとにかく結婚したいの一点張り。
そしてお見合い当日、森魚の前に現れたのは美人だが同性のミーティア・ジェデクだった。
同じ日に別の人とのお見合い相手を戸張が間違えて行かせてしまったが、ミーティアは問題ないと言う。
慌てる森魚だが、ミーティアの国ソルコフ(架空の国)では同性婚も可能ですでに2世代目となるほど続いている。
同性という理由では断りにくいと言われるも森魚はミーティアでいいと言い祖母に会わせる。
森魚はミーティアの圧倒的な美貌に恐らく祖母に性別はわからないだろうと思ったのだ。
そして森魚は祖母にミーティアを自分のお嫁さんだと紹介し、ミーティアもその話に会わせてくれる。
祖母はミーティアを「ミーちゃ」と呼ぶ。
そして、その帰りに森魚が話を合わせてくれたお礼と巻き込んだお詫びをしている中、病院から祖母が息を引き取ったと連絡が入るのだった―…。

 


ポイント


・森魚には祖母と二人暮らし→理由が辛い。
・森魚はひきこもり→理由が辛い。
・ミーティアも悩みを抱えている→理由が流行り辛い。
・戸張も悩みを抱えている→理由がこちらも辛い。
・お見合い当日に指輪持参→そのまま祖母の所へ連れて行く予定だった。行動力ありすぎ。相手が拒否ったらどうする気だったんだろう。
・親族が大変→大地主なので相続争い。
・昭和初期の資産を維持しているのは本家のみ→祖母凄い。
・あだなはモブオ→理由はエキストラなどの意味から。
・森魚の過去のあだ名に憤慨するミーティア→テ・モリオ(モリオさん)と呼ぶよ!
・私の事はミーちゃんって呼んでね!→祖母がそう呼んだから。
・身長差は40センチ→ミーティアは2メートル弱。
・波長合い過ぎ相性良すぎ→信頼しすぎてすぐ同居。戸張さん焦る。

ざっくりと作品内のポイントを挙げてみました。

とにかく辛い、となりそうなんですが未散先生独特のほのぼのさというか人物設定のおかげで辛いけれどちゃんと昇華して乗り越えるまで描かれているので安心です。

結婚しよう、そうしよう!とお見合いするまではよくありますが、その先の展開ですよね。
同性がやってきて、相手の国では同性婚が認められているため「同性」を理由には断れない。

ここで婚姻制度は国によって違う(2018年発行)なのでという理由で断るのではなく「これだけ美人ならいけるだろう!」と祖母に会わせる展開。

森魚はおばあさんが長くないと気付いていて必死に自分でも出来るよ、ほら、一緒に歩んでくれる人と出会えたよ!というアピールして何とか祖母を安心させたい一心なんですよね。
ここに日本語が分からない(北欧だけどソルコフは独自の言葉を持っている)ミーティアが話を合わせてくれる。
何を言っているのかは分からないけれど、雰囲気で察知してしっかりと森魚の望む展開に勧めてくれるんですよ。
二人とも英語がそれほど得意じゃないからたどたどしい会話。
でも、言いたいことだけが伝わればいいので十分です。
最初のミーティアが祖母の所に行った時もそうですが、何となく雰囲気だけで伝わる物はあります。
その上で二人の相性がよければ更に伝達というのは上手く行く。

戸張さんの存在も大きいです。
通訳出来るし、森魚のこともよく知っているし。
その上でモブと呼んでいたことをミーティアに説明する場面がありますが、大人になったからこそ分かる若気の至り。
この点は未散先生の他の作品にもありますが、若い頃にしていたことの後悔や反省。
大人になってその残酷さに気付く。
だけど、その時には気付かない。
それを作品内で現すのが良い。
これも作品によっては「トラウマ案件からの何故か恋愛へと発生させるイベント扱い」にすることもありますが、処理の仕方によっては苦手です(地雷が多い……)

森魚は引きこもりですが、お手伝いさんがいるので日常生活は困っていません。
何かあれば生まれた時から知っている弁護士もいます。
親族とは揉めますが、森魚にはミーティアと戸張さんもいますし、更に弁護士もいるので安心。

二人は会った時から波長が合っているがよくわかっている。
それにしても未散先生の作品に出てくる人ってどうしてこう独特感な人が多いのか
※主人公たちはその作品内でもかなり浮いた存在なことが多い。
逆に問題を起こす側の人の方が世間的にはしっかりとしてそうなのがまた……。
不思議……。
内容としてはかなり辛い過去を入れてきますが、未来を感じられる話です。
描き下ろしは二人のその後です。
カバー下の漫画もあまあまで可愛い。
そして今まで引きこもりだった森魚の買物事情が判明します。
戸張さんも惚気を聞かされます(勝手に惚気るミーティア)
戸張さん良い人だな……。

表紙があまあまなのに読むと意外とヘビーな過去連発という内容ですが、読後感はスッキリします。
乗り越えの場面の描き方って重要ですよね。
面白いので是非!

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※同人誌にて短編集を発行されています。
気になる方はチェックしてみてください。

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